インド、中国製含む200以上のアプリ禁止 高金利の不正融資やギャンブルなど

2023/02/07
更新: 2023/02/07

インド政府は5日、国家安全保障の懸念があるとして、中国製を含む200以上のアプリを禁止する命令を出した。2020年にヒマラヤの国境地帯での人民解放軍との衝突を機に、インドでは中国製アプリの排除が相次ぐ。

インドのPTI通信などが当局者の話として報じた。それによると、電子情報技術省はギャンブルアプリ138本と不正融資アプリ94本を禁止した。

中国を含む海外企業が運営するこれらのアプリは、「経済の安定」に脅威を与え、主権と保全を損なう内容を含むとしてIT法第69条に抵触したという。アプリの名称は明らかにされていない。

今回の措置は、アプリに関連した自殺報道をきっかけとする。内務省の調査で、利用者はアプリを通じて結んだ融資をめぐり嫌がらせを受けたり、アプリ制作側から脅迫されたりといった被害が確認されたという。

これらのアプリはインド人を取締役に置くものの、実質中国人が運営していた。融資は年利3000%まで引き上げられるなどの不当性がみられた。

インド準備銀行は昨年、消費者金融業者対し、オンライン・プラットフォームを通じて商品を提供する際には、顧客に完全な透明性を提供するよう求める新たな規制を制定していた。

サイバーセキュリティを強化

中国製アプリの排除措置を拡大するインドでは、すでに中国動画投稿アプリ「TikTok」やテンセントの対話アプリ「WeChat(ウィーチャット)」を禁止しており、その総数は267に上る。

昨年2月には、携帯電話のカメラやマイクを通じてユーザーの機密情報を収集する可能性があるとして、インド政府は中国製の54のアプリを禁止した。テンセント(騰訊)やアリババグループ、ゲーム大手シー(Sea)が所有するバトルロイヤルゲーム「フリーファイア」が含まれている。

こうした中国アプリ排除措置について、ニューデリーを拠点とする地政学的・戦略的問題の研究コンサルタント、パシクリット・ペイン氏は「インドでは経済のデジタル化が進んでいることや、中国製アプリや中国製通信機器がもたらす脅威を念頭に、サイバーセキュリティをより慎重に対応するようになった」と分析する。

米国と香港のゲーム業界で20年間の投資経験を持つ元ヘッジファンド・マネージャーのジェームズ・リー氏も以前エポックタイムズの取材で中国製アプリの危険性について警鐘を鳴らしていた。

「中国製ゲームやアプリは、世界中の人々のメタデータを大量に収集し、中国共産党のAIに送り込んでいる。中国(共産党)がアプリだけでなく、メタデータも支配してしまえば、サイバー戦争を通じて、人間の心理、つまり人々が何を考えているかを操作することが可能になる」

米国とアジア太平洋地域のニュースを担当するフリーライター。