香港ディズニープラス、「シンプソンズ」の強制労働エピソードを削除

2023/02/08
更新: 2023/02/08

ディズニーは、中国の強制労働を皮肉る米アニメ「ザ・シンプソンズ」のエピソードを公式動画配信サービス「ディズニープラス」の香港版から取り下げていたことが、6日までにわかった。

2020年に香港国家安全維持法(国安法)が施行されて以降、中国共産党は民主派への締め付けを強化している。翌年の2021年には、香港政府が「国家安全保障」上の脅威と見なす映画の検閲を厳格化する条例改正案を発表するなど、表現の自由が一層制限されている。

今回削除されたのは、昨年10月に放映されたエピソード「ワン・アングリー・リサ(One Angry Lisa)」。万里の長城が映るバーチャル背景とともに、インストラクターが「中国の不思議を見よ。ビットコインの採掘場や、子どもたちがスマートフォンを作っている強制労働収容所を」と発言するシーンがあった。

ディズニーは2021年にも1989年の天安門事件に触れるエピソードを削除している。シンプソンズ一家の中国旅行を描いた同作では「この場所では1989年に何も起こらなかった」と中国共産党のスローガンを映したり、中国共産党によるチベットへの弾圧や毛沢東の失策で「5000万人が殺された」と父親のホーマーが話す場面が放映されていた。

またディズニーは2020年、中国共産党が人権侵害を行なっている新疆ウイグル自治区で実写映画「ムーラン」の撮影を行ったとして、非難を浴びたことがある。

言論の自由の擁護に取り組むニューヨークの非営利団体「PENアメリカ」の2020年の報告書によれば、米国のエンターテイメント複合企業は中国市場の成功のため、共産党の検閲担当を製作過程のなかで受け入れている。人権弾圧問題に触れた際の報復措置や機会損失を避けるためだ。

米下院で新たに設置された、中国共産党との戦略的競争に関する特別委員会のマイク・ギャラガー委員長は11日、ディズニーの経営陣を喚問し、中国共産党政権との関係を証言するよう求めるとした。

エポックタイムズはディズニーにコメントを求めたが、本記事掲載までに返答は得られなかった。

米国とアジア太平洋地域のニュースを担当するフリーライター。
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