アイルランド、投資移民ビザ廃止 1500人以上の中国人富豪が居住権取得

2023/02/22
更新: 2023/02/22

アイルランドのサイモン・ハリス法務相は14日、1500人以上の中国人富豪に居住権を与えてきた「ゴールデンビザ」制度を廃止すると発表した。欧州委員会が指摘した租税回避などの悪用や安全保障上のリスクを理由に挙げた。

欧州連合(EU)域外の裕福な外国人投資家向けのこのビザ制度は、投資の見返りにアイルランドでの居住権を与える仕組み。アイルランド金融危機を受け2012年に同制度が導入された。

200万ユーロ以上の個人資産を保有し、アイルランド企業に100万ユーロを投資し、50万ユーロ以上を芸術家や慈善団体へ寄付すること等を条件としていた。投資家とその家族はアイルランドに5年間居住した後、市民権を申請することが可能になる。

ハリス氏はこのビザ制度によって「約12億5200万ユーロもの投資が集まり、経済・社会面でアイルランドの利益創出に繋がった」ものの、安全保障上の懸念から同制度を「引き続き採用することは適切でない」と語った。

いっぽうで、「すでに承認されている既存ゴールデンビザには影響ない」とした。

高まる中国人投資家のビザ取得に懸念を示した欧州委員会などは2022年、「安全保障上のリスク、マネーロンダリング(資金洗浄)や脱税、汚職」目的で悪用される可能性があるとして、同制度の廃止を呼び掛けていた。

フィナンシャル・タイムズによると、ゴールデンビザ制度導入以来、申請承認が下りた投資家のうち香港や中国の投資家が90%以上を占めているという。また、アイルランド司法省が昨年発表した数字によれば、過去10年間にこの制度を通じて居住権を得た中国人資産家は1500人以上に上る。

英国もロシアとウクライナの緊張が高まった昨年2月、ゴールデンビザを廃止。外国人投資家が、「不法に富を獲得し、汚職に関連するなど、安全保障上の懸念を生じさせた」と廃止理由を述べた。

米国をはじめ国際関係担当。