小学生が親の同意なく「社会的性転換」を開始=カリフォルニア州

2023/03/26
更新: 2023/03/26

カリフォルニア州オレンジ郡の親権団体「カリフォルニア教育連盟(California Alliance for Education)」によると、2020年1月から2022年10月にかけて、23人の生徒(うち小学生8人)が親のインフォームド・コンセント(説明と同意)なしに地元の学区で「社会的性転換」を開始していたという。

同連盟は、ニューポートビーチとコスタメサの幼稚園から12年制学校までを統括している「ニューポート・メサ統合学区」から、数百ページのメールと文書を入手した。

同連盟のある親権擁護者が、報復を恐れてキム・デイヴィスというペンネームでエポックタイムズに内情を語った。彼女によると、23件すべてにおいて、親は子供の「ジェンダーサポートプラン(GSP)」の開始について知らされていないか、知らされても同意していなかったという。

「これらのジェンダーサポートプランはすべて、親に知られることなく生徒に提供された。その後生徒は、親を会合に参加させるか、あるいは親に知らせるかを尋ねられる。つまり、生徒がそれを決めるのだ。23人の子供のうち、後から知った親がいた可能性はあったにせよ、社会的性転換のプロセスが親の関与なしに開始されていたことを電子メールは示している」

Epoch Times Photo
2022年9月21日、カリフォルニア州コスタメサのニューポート・メサ統合学区にて (John Fredricks/The Epoch Times)

「社会的性転換」とは、学生の名前、代名詞(he/she)、メールアドレスを変更し、ノンバイナリー(自らを男女区別に当てはめたくないという考え)、またはトランスジェンダーの新たなアイデンティティを反映させることを指す。

エポックタイムズが入手した電子メールでは、以下のような出来事が明らかになっている:

– 学区は、親の同意なしに生徒とGSPを開始するために、小学校にメンタルヘルス・カウンセラーを設置する計画を立て、小学校の校長と生徒サービス責任者が、GSPを支援するためにカウンセラーを加えることを話し合った。メールでは、校長がカウンセラーに対し、最初に保護者の同意を得ることはせずに、小学生と「つながりを築き」、自身が望む代名詞(he/she)について尋ねるよう指示している。

– 地元のLGBT活動家が、親の意向に反して小学生の社会的性転換を推し進めた。

– 小学生が親の同意なしに社会的性転換をさせられた。あるケースでは、母親が望まなかったのにもかかわらず、学校側が子供の社会的性転換を進めた

– ある生徒サービス責任者は、学区内の小学校でカウンセラーによる500件以上のメンタルヘルスのチェックが進行していることを祝った。

– 学区は小学校6年生のサイエンスキャンプなどのお泊まりキャンプの部屋割りを、生物学的性別ではなく、性自認に基づいて行った。

– 両親に知られたくないという生徒側の理由で、ある高校生の両親がジェンダーサポートの会合に出席しなかった。

また、公開記録によると、「性の健康と権利に関するアクションカナダ(Action Canada for Sexual Health and Rights)」という進歩的な組織が制作した、「ジェンダーとセクシュアリティの銀河系(Gender and Sexuality Galaxies)」と呼ばれる活動資料が学区のカウンセラーや心理学者に送られたという。ある中学校のメンタルヘルス担当者1人がこれに反発している。

デイヴィス氏は「10種類の性自認と12種類の性的指向の選択肢を提示する、『ジェンダー表現の無限の可能性』を示したカラフルな資料が、2021年『国際トランスジェンダー認知の日』である3月31日にカウンセラーと心理士に配布された」と述べている。

この文書は、指導者が生徒に「自分はジェンダー銀河とセクシュアリティ銀河に存在する宇宙旅行者だ」と想像させるよう伝えている。生徒は「自分なりの惑星探査や宇宙探査の物語を描く」よう教わるという。

Epoch Times Photo
トランスジェンダーの児童書。2022年8月30日、カリフォルニア州アーバインにて (John Fredricks/The Epoch Times)

学区の方針

同学区の広報担当者アネット・フランコ氏は、エポックタイムズへの電子メールで、カリフォルニア教育連盟が記録した23件の事例について、同学区は知らなかったと述べている。

「学区は、差別禁止法およびプライバシー保護法(AB1266法案を含む)により、保護者に知らせる許可を生徒が職員に与えない限り、生徒のジェンダーサポートプランおよび自身が望む代名詞に関する秘密を保持することが求められている」とフランコ氏は述べた。

「私たちは公立学校の職員として、個人的な信念を捨て、公立学校区に適用されたすべての法令を遵守する義務がある」

彼女は学区のポリシーを引用し、性別ごとに別れている学内プログラム・活動にトランスジェンダーの生徒が異性の生徒と一緒に参加する可能性について、毎年保護者や生徒に通知することが義務づけられているとした。

しかし、ポリシーには、「トランスジェンダーの生徒がプログラムや活動に参加する個々の事例について、通常学区は生徒と保護者に通知しない」と記載されている。

また、カリフォルニア州教育省は、教師やカウンセラーに対して、生徒が社会的性転換を求めた場合、生徒が保護者に伝えたがらない限り、保護者に知らせないよう助言するガイダンスを示している。

しかし、親権擁護者のデイヴィス氏はこれらの義務付けは法律ではないと主張している。

2014年のAB1266法案は、生徒は生物学的性別ではなく性自認によって、性別ごとに別れている学内プログラム・活動の参加や施設利用が許されなければならないと定めている。

デイヴィス氏は「それらが法律で定められていることであって、親の同意なしに子供に社会的性転換をさせることについては何も書かれていない」と述べている。「その点で、カリフォルニア州教育省のガイドラインは非合法である可能性が高い」

さらに彼女は、カリフォルニア州教育法典の規定と、「生徒の権利保護修正案(PPRA)」について言及した。PPRAとは、親には養育している子供について知り指導する権利があるとする連邦法だ。

このガイドラインでは、生徒が保護者に伝えたがらない限り、教師は学校で生徒自身が望む代名詞で生徒を呼び、保護者と連絡を取るときは生徒の生来の代名詞を使用しなければならない。そうしなければ、教師は嫌がらせを行ったとして懲戒処分を受け、場合によっては刑事告訴される可能性がある。

デイヴィス氏は保護者面談を例としてあげ、教師はトランスジェンダーの生徒を出生時の名前で呼ぶことが求められ、教室における子供の社会的性転換に関して保護者を欺くことになると指摘した。

「教師が子供の同意なしに親に知らせたり、生徒が望む代名詞を使わなかったりした場合、法的手段を取られる恐れがあるため、州の義務に違反して解雇されることを恐れる教師や管理職もいる」

「このガイドラインによって、素晴らしい先生方が不快な状況に置かれたことに対し本当に心が痛む。噛み砕いて言えば、このガイドラインは教師たちに保護者を欺くよう指示している。それは非常に大きな問題だ。教師たちを道徳的な苦境に陥れている」

Epoch Times Photo
2020年12月1日、カリフォルニア州コスタメサのソノラ小学校近くの標識 (John Fredricks/The Epoch Times)

メンタルヘルスのチェック

デイヴィス氏は、生徒に対するメンタルヘルスのチェックが、保護者の権利を侵害するもう一つの行為だと述べた。

「この学区は、メンタルヘルスカウンセラーの軍団に膨大なリソースを費やしており、彼らは親の同意なしに教室にやってきて、生徒の相談を始めている」

「子供たちがどういう話を聞かされるのかを親が知ることもなく、カウンセラーがジェンダーサポートプランを開始する」

「実際、子供たちは授業から引っ張り出され、メンタルヘルスについてチェックされている。親が拒否できる調査もなく、いつどのようにチェックが行われているのか、透明性もない。これは憂慮すべきことだ」

子供たちを同学区の学校から退学させたという保護者のヘイリー・ジェンキンス氏が、エポックタイムズの取材に応じた。彼女によると、保護者らはジェンダーサポートプランやジェンダーセクシャリティーチャートについて聞いたことはあったが、この問題について同地区が透明性を欠いていると感じたため、情報公開請求を行なったという。

「さまざまな教師や生徒から、社会的性転換が地区で行われているという噂を聞いていた。私は、すべての保護者には、学校に行かせた我が子が同じ子供として帰ってくることを知る資格があると信じている。しかし、そうはいかなかった」

ジェンキンス氏は、学校職員間で交わされていた電子メールに関して大きな懸念を示した。

「ジェンダーサポートプランが何なのか、それがどのように機能するのかさえ知らない親がたくさんいる。基本的に、親としての権利は奪われている。すべての親は、学校でそのような深刻なことが起こっているかどうかを知る権利がある」

例えば、小学生の子供を泊りがけのサイエンスキャンプに行かせるとき、異性の生徒が同室でシャワーを浴びる可能性があることを、多くの親は知らないという。

「何が起きているのか、自分の子どもが安全かどうか、親として知る権利がある。異性の子供と同じロッカールームやバスルームを使うというのに、安心して子供を学校に送り出せるだろうか」とジェンキンス氏は述べた。

メールでは、この方針に対して反発する教師もいるなかで、メンタルヘルスカウンセラーが親に内緒で生徒の新たな性自認を肯定していることが明らかになっている。

「彼らは保護者と一緒に子供を支えるのではなく、子供と共同して秘密を隠している。子どもに責任を持つのは親だ。学校でも子どもでもない。親が子供に責任を持つ」とジェンキンス氏は述べた。

彼女は、ニューポートハーバー高校のウェブサイトに、ジェンダー・アファーミング・ケア(性別違和を抱える子どもへのケア)を積極的に推進する弁護士、医師、外科医のリソースへのリンクが載っていたことを指摘した。

数ヶ月前まで、同校のウェブサイトには、カリフォルニア大学アーバイン校の外科医との交流会や、チェストバインダー(胸の膨らみを潰す下着)の入手先へのリンクが載っていた。彼女いわく、チェストバインダーには、子供たちへの身体的ダメージがあることが知られているという。「本当に怖い」と彼女は述べている。

親権法制

そんななか、今月共和党は、学校で未成年者の秘密の性転換を認めている州への資金提供を阻止するための州及び連邦法案を提出した。

15日、ダグ・ラマルファ連邦下院議員は、このような性転換を認めている州への資金提供を阻止する下院法案、HR1585を提出した。同法案は、1965年の「初等中等教育法タイトルII」に基づき、物議を醸す行為を禁止する政策の実施を各州に求めている。

その2日前には、共和党のカリフォルニア州議員2人(ビル・エサイリ議員とジェームズ・ギャラガー議員)が、生徒のジェンダーが出生証明書に記載されている性別と異なっていることを発見した場合、教師やカウンセラー、その他の学校職員が3日以内に書面で親に通知することを義務付ける親権法、AB1314法案を提出した。

この法案が成立すれば、子供が親に伝えたいかどうかによって生徒の性転換は秘密にされるという、現在カリフォルニア州で物議を醸している政策に終止符を打つことになる。

南カリフォルニアを拠点とする受賞歴のあるジャーナリスト