イタリア政府は28日、培養肉などの細胞培養食品の製造、販売および輸入を禁止する法案を提出した。イタリアの食文化や伝統の保護を目的としている。
同提案は、28日に閣僚承認され、脊椎動物由来の細胞や組織の培養による食品または飼料を禁止とする。植物性代替肉は対象外で、実験室で製造された肉や魚、合成乳などに適用される。
違反すれば最高6万ユーロ(約860万円)の罰金が科され、最大3か月間工場が閉鎖される可能性がある。
フランチェスコ・ロロブリジーダ農務相は、同法案について「食品やワインを含む私たちの文化や伝統を保護することを目的としている」とし、「実験室で製造された食品は品質や健康、そして我々の文化や伝統の保護を保証するものではない」と述べた。
イタリアの食品雑誌『Italia a Tavola』の記事によると、イタリア人の84%は既存の肉や魚、牛乳、チーズが実験室で製造された食品に置き換わることに反対しているという。
イタリアの農業生産者団体「コルディレッティ」は同法案を支持。首都ローマ中心部の官庁街で行われたフラッシュモブで「農家のみならず、消費者を守るための先兵となるこの法案を農家とともに祝う」とした。
コルディレッティなどの農業団体は、ここ数か月合成食品に反対する署名活動で50万人の署名を集めており、メローニ首相も署名している。
イタリアでは最近、コオロギやイナゴ、昆虫の幼虫を使用し製造された小麦粉をピザやパスタで使用する事を禁止するなど、右派与党「イタリアの同胞」などによりイタリアの伝統的な食文化を保護するための取り組みが推進されている。
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