米下院、強制臓器摘出停止法案の通過は「大きな前進」…中国共産党の責任追及へ=米議員

2023/04/01
更新: 2023/03/31

「殺人的」「グロテスク」「不道徳」「野蛮」。

米超党派議員らは、一致団結して中国共産党による臓器狩りに立ち向かう。米下院は27日、この残虐行為に終止符を打つための法案を賛成413、反対2の賛成多数で可決した。議員らはこの進展に強い支持を示し、中国共産党の責任を問う決意を新たにした。

「臓器強制摘出は残酷で不道徳な行為だ。多くの場合、民族的・宗教的マイノリティや世界で最も弱い立場にある人々を標的にしている」。上院版の強制臓器摘出停止法案を共同提出した民主党のクリス・クーンズ議員は、こう述べた。

法案が下院を通過したことについては、「この卑劣な犯罪を行う者への責任追及ができるようバイデン政権に権限を与えられることに一歩近づいた」と語った。同氏は上院人権委員会の共同議長を務める。

法案は、良心の囚人から生きたまま臓器を摘出する「臓器狩り」に加担した者に制裁を科し、国外で行われた臓器収奪について年次報告書を提出するよう国務長官に求める内容が盛り込まれている。

無実の人の大量殺人

中国共産党による臓器狩りは2006年に初めて明るみになった。中国北東部で働いていたアニー(仮名)と名乗る女性が、医師だった元夫が2000人あまりの法輪功学習者から角膜を摘出したと大紀元に証言したことが始まりだった。

法輪功は心身の健康と道徳性の向上に顕著な効果が見られるとして、1990年代に中国で急速に人気を博した中国の伝統気功だ。しかし、これを恐れた中国共産党総書記・江沢民が1999年に弾圧政策を実施して以降、学習者は拷問や臓器収奪の犠牲者となっている。

2019年に英国で開かれた国際人道犯罪を裁量する「中国民衆法廷」は、拘束された法輪功学習者が臓器狩りの主な犠牲者だと結論を下した。新疆強制収容所のウイグル人やチベット人、地下教会(キリスト教徒)などの良心の囚人も標的になっていると、同法廷は指摘する。

下院を通過したこの法案は、立法手段によって中国共産党の悪行に対抗する米国初の試みであり、人権団体からも称賛の声が上がる。

中国での臓器移植濫用停止国際ネットワーク(ETAC)の常任理事を務めるスージー・ヒュー氏は「法案は、中国民衆法廷の裁定に対する最も重要な国際的な対応の1つ」と強調した。また「自国民が中国での臓器収奪の犯罪に巻き込まれないためにも」、米国に追随する政府が増えることを期待すると述べた。

米首都ワシントンに拠点を置く共産主義犠牲者記念財団アンドリュー・ブレンバーグ代表も「この法案の可決は、中国だけでなく世界中の国々に対して、米国がこの残虐行為から目をそむけないという明確なメッセージを送るものだ」と強調。法案が「上院を通過し、速やかに成立することを願う」と述べた。

「政治を超越した道徳的な問題」

元移植外科医のグレッグ・マーフィー議員は、中国共産党による臓器狩りを「政治を超えた道徳的な問題だ」と指摘する。「これは善と悪の問題だ。特に中国共産党に関連するこの殺人的な行為に対して主導権を握るのは、米国の責任だ」とエポックタイムズの取材に答えた。

下院民主党議員団も、中国共産党の人権侵害を訴えることは、超党派の共通課題だと言う。党幹部会会長のピート・アギーラ氏は「共和党と協力して人権に関する正しいメッセージを発信していく。この法案はその一つだ」と語った。

米下院の中国特別委のアンドレ・カーソン議員は、人権弾圧は党派を超える問題だと語った。「最も憂慮すべきは、(中国共産党が)同意のない個人からの強制的に臓器摘出していることだ」「法案は米国政府の資源がこの凶悪な行為を支援するために利用されないようにするための一歩」と述べた。

加害者の責任を問う

中国共産党による迫害で米国などに逃れても、心の安らぎは得られない。中国国内の学習者や海外学習者の国内にいる家族は、常に嫌がらせや逮捕のリスクに直面している。

「中国の大量虐殺政権は、ウイグル人や法輪功学習者など北京が脅威とみなすグループに、想像を絶する人権侵害を行なってきた。その中には、強制的な臓器摘出を示す信頼できる情報もある」と上院法案の共同署名者であるマルコ・ルビオ議員はエポックタイムズに語った。「米国は、中国共産党にこれらの残忍な犯罪に対する責任を負わせなければならない」

2019年7月18日、法輪功学習者は国会議事堂の芝生で迫害の犠牲者への追悼と迫害停止を訴えるキャンドルナイト・イベントを行った (Samira Bouaou/The Epoch Times)

法案を共同提案したマーク・グリーン下院議員は、「中国共産党は、政治犯への臓器狩りという想像を絶するグロテスクな方法で、自国民の権利を踏みにじっている。中国共産党は、常軌を逸している」と非難した。

世界的に権威のある医学雑誌「米国移植学会誌」は昨年4月、中国の医師は脳死する前の死刑囚から臓器を摘出していた可能性があるとする調査報告書を発表した。執筆者は、医師らが「死刑執行人」になっていると指摘した。

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。