侵攻支持ブロガー爆殺、ロシアはウクライナ非難 26歳の女逮捕

2023/04/04
更新: 2023/04/04

[3日 ロイター] – ロシア当局は3日、前日にロシア第2の都市サンクトペテルブルクのカフェで起きた爆発で「ウラドレン・タタルスキー」のペンネームで活動していた軍事ブロガーのマクシム・フォミン氏が死亡した事件で、26歳の女を逮捕したと発表した。

逮捕されたのはダリア・トレポワ容疑者。裁判所の記録によると、トレポワ容疑者はロシアがウクライナに対する全面侵攻を開始した昨年2月24日に戦争に反対する抗議活動に参加したとして身柄を拘束されていた。

フォミン氏はロシアによるウクライナ侵攻を支持すると同時に、ロシアが「特別軍事作戦」と呼ぶ侵攻の遂行方法を超国家主義者的な立場から批判することもあり、通信アプリ「テレグラム」で50万人を超えるフォロワーがいた。

ロシアはウクライナが組織的にフォミン氏を殺害したと非難。これに対しウクライナのポドリャク大統領府顧問は、フォミン氏の殺害はロシア「内部の政治抗争」の一部との見方を示した。ただこの主張を裏付ける証拠は示さなかった。

トレポワ容疑者は2日にカフェで開かれたロシアのウクライナ戦争の支持者を集めたイベントでフォミン氏に近づき、爆発物を仕掛けた贈り物をしたと伝えられている。

映像にはフォミン氏が贈られた小さな像を聴衆に披露しているようすが映っているほか、地元メディア「フォンタンカ」公表した映像には、爆発の瞬間に建物の1階が全体が揺れ、衝撃で外のテラスの一部が倒壊するようすが映っている。

ロシア内務省が公表したビデオで、トレポワ容疑者はフォミン氏を象った小さな像に爆発物を仕込み、これを会場に持ち込んだとし、この爆発物でフォミン氏が死亡したと告白。ただ国内メディア報道によると、同容疑者は捜査当局に対し、自分は謀略に陥れられたのであり、爆弾を持っていることは知らなかったとして容疑を否認している。

ロシア大統領府(クレムリン)はフォミン氏殺害を「テロ行為」として非難。ペスコフ報道官はこれについて大がかりな捜査を行っているとした。

ロシア国家対テロ委員会(NAC)は、ウクライナの情報機関がロシアで収監中の反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の支持者の協力を得て、今回の爆発を組織的に実行したとの見解を示した。

その背景には、同容疑者がナワリヌイ氏らが推進していた反政府活動に参加登録していたという事実があるとみられる。

現場となったカフェの外では、吹雪の中、花を手向ける大勢の人の姿が見られた。その多くが動揺や怒りを口にしていた。

一部コメンテーターは、ウクライナ戦争を巡る暴力がますますロシア国内に浸透していることを示していると述べた。

ロシアでは昨年夏、極右思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の娘ダリア氏が自動車に仕掛けられた爆弾で死亡した。ロシアはウクライナが関与したと主張、ウクライナは否定している。

Reuters
関連特集: 国際