Covidワクチン接種後の健康被害 当事者グループが豪州政府と規制当局に対し集団訴訟

2023/05/02
更新: 2023/05/02

オーストラリアで、新型コロナワクチン接種後に生じた健康被害について、被害を受けた当事者が4月26日、豪政府と医薬品規制当局(TGA)を相手に「新型コロナワクチンを適切に承認、規制しなかったことにより国民に危害と損害を与えた」として、オーストラリア連邦裁判所に提訴した。

 オーストラリアの医薬品規制当局(TGA)は、新しい医薬品が承認されるプロセスを監督するほか、医薬品の製造、輸入、流通、販売に関するライセンス管理、および医薬品の副作用報告を収集、分析して適切な対応を取るなど医薬品全般の安全性、有効性、品質、および適切な情報提供に関する規制などを行っている。

治療薬のほか、疾病予防のため接種される各種のワクチンについても、同局が監督責任を負う。

この度の訴訟は、被害を受けた当事者であるガレス・オーグレイディ氏、アントニオ・デローゼ氏、アンソニー・ローズ氏を代表として提起された。裁判や弁護士に関わる費用については、メリッサ・マッキャン博士が呼びかけたクラウドファンディングによって調達した資金が充てられるという。

マッキャン博士はツイッターに「これらの被害者や悲嘆に暮れる人々は、莫大な損失や痛み、悲しみを受けている。同様に、彼らの心を痛めるのは、彼らを見捨てたまま放置してきたガスライティング(心理的虐待)と沈黙だ。COVID(の病禍)に拍車をかけるように、彼らをこれ以上、取り残すことはできない」と述べた。 

 

23歳女性、2回目接種後に死亡

23歳のケイトリン・ゴッツェさんは、2021年に職場でワクチン接種を義務付けられた。彼女は2回目の接種をした6週間後、勤務先で車の中で亡くなっていた。

ケイトリンさんの死から6か月後、検死官は死因を「喘息」と公式に発表したが、彼女には喘息の病歴はなかった。母親のレイリーンさんは「リスクがある場合、ワクチン接種には選択肢がなければならない。ケイトリンには選択肢がなかったばかりか、正確な情報に基づいた同意もなされなかった」と言う。

レイリーンさんは「この責任を追及したい。政府は、今回引き起こされた計り知れない被害について、責任を取ってもらいたい」と訴えている。 

 

豪州のワクチン補償制度

オーストラリアではワクチン接種後に健康被害が生じた場合に備えて、「COVID-19ワクチン請求制度」(COVID-19 Vaccine Claims Scheme)と呼ばれる補償制度が設けられている。TGAの報告書によると、ワクチン接種後の死亡がワクチンに関連すると認定されたケースは、これまでに14件報告されている。 

原告側の弁護士であるナタリー・ストライランド氏は、「(我われは)TGAがCOVID-19ワクチンを適切に規制しなかったことにより大きな損害を引き起こした、と主張することになるだろう」と述べている。

日本では今年2月2日に、京都大学名誉教授の福島雅典医師が原告となり、新型コロナワクチンに関する厚生労働省の「データ不開示」を不当として、国を相手にデータを開示するよう求める訴訟を東京地裁に起こしている。

 

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。