中国のSNS上で拡散されている「反戦の文章」が、いま衆目を集めている。
台湾への武力行使をちらつかせて、やたらに脅しを強める中国。しかし、その国内では「戦争になっても戦場にはいかない。子供にも行かせない」という反戦の文章がSNSなどで拡散され、多くの人の共感を呼んでいる。その内容は、以下の通り。
「戦争が始まっても、私は戦場には行かない。私の子供にも行かせない。私は社会の低層で育った人間だ、平和な時には(中国政府は)我われのことなど完全に忘れているくせに、国難(戦争)の時になってはじめて我われの存在を思い出す。『国難の時は、すべての人が責任を負う』というけれど、福祉などの国の待遇が受けられる時は、我われはそれを平等に享受できない。だから(戦争など)行きたい人が行けばいい。どのみち私は行かないし、私の子供にも行かせない」
中国語で120字ほどの短い文章は、近い将来に起こる可能性を否定できない(台湾や米国との)戦争そのものについて、その是非を実証的に論じたものではない。
むしろ、普段は政府から全く顧みられない社会の低層にいる人が、都合のよい時だけ民衆を「動員」しようとする中国共産党の身勝手さに対し、そのアンチテーゼとして明示した「不服従の態度」であると言ってよい。
この投稿文は中国のSNSで繰り返しシェアされ、多くのネットユーザーの共感を呼んだ。
関連する話題に寄せられたコメントのなかには、中国共産党の政治体制や今の中国社会が抱える矛盾を指摘する声も少なくない。
「高官の家族は、みんな米国にいるじゃないか。なぜ我われ韮(ニラ。搾取される民衆の例え)は血を流さないといけないのか」
「私も(戦争なんかには)行かない。低層の人民は、資本(家)のために命を捧げる義務はない」
「武器をくれ。そうしたら真っ先に、私を無理やり戦場へ行かせた人間に銃口を向けてやる。他の人には、恨みなんてない」
「国のために戦いたくないし、自分の子供にも戦ってほしくはないね。乱世の犠牲品には、なりたくない。我われ低層の人民に気を配る人は誰もいない。我われは、自分で自分を大切にするしかないのだ」
今年2月にも、中国メディアに「祖国があなたを必要とする時、前線へ赴くか?」とするテーマで討論する記事が掲載された。すると、そのコメント欄は手が付けられないほど炎上し、大いに荒れた。
ネットユーザーからは「党員や(党の)お偉方を、先に戦場へ行かせればいい」「強制徴用されたら、造反してやるぞ。なにせこっちは銃が手に入ったのだから」といった、当局が背筋を寒くするようなコメントが相次いだ。
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