歩道橋で抗議する女性「絶望の末、飛び降り自殺」 動画の削除を求めて、警察が家に来た=中国・厦門

2023/05/25
更新: 2023/05/26

今月22日、中国福建省厦門市の市街にある歩道橋で、垂れ幕を掲げて抗議をする女性の姿を映した動画がSNSに拡散されている。動画投稿者によると、女性はその後で橋から落下し、死亡したという。「絶望の末の自殺」と見られている。

「ひとりの人間」が、この直後に死亡する動画

SNS上に流出した動画では、帽子をかぶり、拡声器を手に持つ女性が1人、歩道橋の手すりの外側に立って抗議していた。

歩道橋には、2本の垂れ幕が下がっている。そこには「(ネットショップではない)実体店舗の賃料の価格設定はどうなっているのか?」「誰が店舗の家賃を救うのか?」と、抗議の意思を込めた問いかけの言葉が、それぞれ記されている。

女性が手にする拡声器からは「私は、6年間刈り続けられたニラ(搾取される人民の例え)だ。同安閩南市場の経営はダメだ。人を懲らしめることにかけては一番だ。私のお金を返せ」という声が繰り返し流れている。

事件は現地時間の午前9時ごろ、厦門市思明区にある湖濱中路の歩道橋で起きた。ちょうど朝のラッシュアワーでもあり、事件の影響で湖濱中路の交差点は一時混雑した、と目撃者は明かしている。

これに関連する動画は海外のSNS上に流出しているが、中国国内では当局の検閲によって削除されている模様。

エポックタイムズ(中国語版)の記者が本件の記事を作成する時点では、事件に関する中国当局の公式発表も中国メディアによる報道もなかった。また動画の撮影者は、一度公開した動画を削除している。

エポックタイムズの記者が、この動画の投稿者に連絡をとったところ、投稿者は「私はただの通りすがりだ。何か垂れ幕をかけていたので、動画に撮ってネットに投稿しただけだ」と説明した。その時、記者の印象として、投稿者は多くのことについての言及は避けたい様子だったという。

警察が来て「動画を削除せよ」と迫った

すでに当局から圧力を受けたと思われる投稿者であったが、記者が根気よく質問したところ、ようやく「女性は(そのあと)転落死した。彼女は、生きることに未練がないようだった。(飛び降りは)目的があっての行動だろう」と述べた。

また、一度投稿した動画を削除した理由について、投稿者は「警察が家に来たからだ」と明かした。「(警察は)これは良くない影響がある、といって、動画の削除を求めた。だからもう動画を公表できない」という。

投稿者はさらに「現場を目撃した人はたくさんいる。なかには(中国SNSである)ウィーチャット(微信)のモーメンツ(朋友圏)へシェアした人もいる。しかし、みんな(私のように)警察が家に来て、削除を求められただろう」と話した。
 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。