中国共産党方式の愛国教育を全面導入する香港では、自由な教育が失われつつある。こうした中、香港警察は、セキュリティ強化と犯罪防止のため教室における監視カメラ設置を推し進めている。一方で、こうした監視は言論の自由の侵害になると教師などから指摘する声が上がっている。
香港警察は新しく開設したウェブサイト「SafeCity.HK」で廊下や階段、受付、教室を監視する監視カメラの取り付けを含む「学校のセキュリティに関する方針」を公示した。そのほか学校は電気フェンスや赤外線モーションセンサーも設置するべきだと付け加えている。
この提案は、中国共産党が新しい治安維持法の下で香港の市民の自由を侵害する最新の例と言える。
中国本土では、すでに学校や大学で反体制派の情報提供文化が広まっており、これが香港にも広まると懸念されている。国家安全維持法違反の報告を受け付けるホットラインには、昨年40万件の通報があった。
方針には顔認識やその他の高度技術を駆使したアクセスシステムも、警備員の審査強化とともに、アップグレードリストに含まれている。匿名を条件にラジオ・フリーアジア(RFA)の取材に応じた教師たちは「過剰対応ではないか」と懸念を口にした。
教師たちは、学校は盗難やいじめなどの問題に直面しているとしながらも、音声認識や顔認識技術のようなハイテク対策は合理的で透明性があるとは言えないと指摘。「安心して着替える場所さえ奪われる」とプライバシーの侵害を指摘した。
またかつては生徒たちに複数の視点からテーマを議論するよう求められたが、今では政府公認の内容を多く暗記するように言われていると述べ、言論の自由が奪われていると強調した。
2020年6月30日に香港国家安全維持法が施行されたことで、反対意見や政治的対立に対する弾圧が拡大している。
同年には、民主派が立法会選挙に向けて実施した非公式の予備選が政権転覆の企てにあたるとし、民主活動家、黄之鋒氏ら47人を国家政権転覆罪で起訴されたほか、香港民主派で最大の教員労働組合である香港教育専業人員協会も閉鎖に追い込まれた。
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