LGBT法案、そもそも必要? 長尾敬氏「成立すれば改正は困難」

2023/06/07
更新: 2023/06/07

LGBT関連法案をめぐって、衆院内閣委員会では9日に与野党が提出する3法案を審議し、同日採決することとなった。いっぽう、法案の文言や社会的影響をめぐる議論が尽くされていないとの批判は根強く、国民からは廃案を求める声も上がっている。前衆院議員の長尾敬氏は、今回の法案は議員立法であるため、一旦成立すれば改正が困難だと指摘する。

議論されるのは①自民・公明両党がまとめた修正案、②立憲民主党や共産党が推進する超党派議連の法案、そして③日本維新の会と国民民主党が提出した独自案の3本。与党案では「性自認」の概念を採用せず、「性同一性」に変更。さらに超党派議連の主張する「差別禁止」ではなく、「不当な差別」を許さないと修正した。これに対し、立憲民主党や共産党は強く反発している。

日本維新の会や国民民主党は「性同一性」や「性自認」の代わりに、その英訳である「ジェンダーアイデンティティー」を採用。女性や子供の権利侵害に対する懸念を念頭に、「全ての国民が安心して生活できるよう留意」する旨を明記した。

学校教育については、与党案ではLGBTの教育啓発に努めるよう定めたのに対し、維新・国民民主案では「保護者の理解と協力を得て行う心身の発達に応じた」との文言を追加した。

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議論の再開を受けて、自民党の和田政宗参院議員は「自民党内手続きに瑕疵があり(推進側も認める)、当事者でない悪意の者から女性スペースをどう守るのかも不明。G7各国と同様に既存法改正で平等原則を定めるのか、G7各国に無い単独法とするのかも、議論は尽くされていないのに採決?」と懸念を示した。

女性の権利保護を目指す「女性スペースを守る会」は7日、自民、公明、日本維新の会、国民民主の4党に対し要請書を送付。LGBT問題で先行する国々の混乱や、米国内の世論が二分された状況を指摘し、国民的な議論が尽くされていないと批判した。

長尾敬前衆議院議員は7日の番組で、議員立法は内閣が提出する法案とは異なり、「一旦成立したらなかなか改正されない」と懸念を示した。「一般論だが、落選や引退があるため、提出者がずっと議員であり続けることはない。その後に当選した議員は立法の経過を知らないため、すでに成立した法案がほったらかしになる傾向がある」。

その上で長尾氏は「LGBT法案が仮に成立しても後で改正すればいいという甘いことを言えない」と強調した。 

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。