カトリック系病院でトランスジェンダーや中絶の手術が行われた疑い=報告書

2023/06/15
更新: 2023/06/15

エポックタイムズに公開された報告書によると、米国最大のカトリック系医療機関が、伝統的なカトリックの教えに反し、トランスジェンダー手術やその他の「ジェンダーを肯定する」医療介入に資金を提供し、実行した疑いがもたれている。

カトリック系の研究・教育機関であるレパント研究所(Lepanto Institute)が2023年6月12日に公開したこの報告書によれば、カトリック系機関であるコモンスピリット・ヘルス社(CommonSpirit Health)が、患者に異性間ホルモン治療や性ホルモンにより思春期の変化を止める「思春期ブロッカー」を処方するなど、トランスジェンダー向けの手術や療法の実施・資金提供を行っていたとされている。

報告書に添付されたプロモーションビデオはこのように主張している。「トランスジェンダーの流行は世界中に広がり、文明の基盤である家族の存在を脅かしている。これがバチカンの目の前で進行している」

64ページの暴露本『コモンスピリット社と性転換産』の中で、著者でレパント研究所の創設者兼所長であるマイケル・ヒッチボーン氏は、米国のカトリック医療ネットワークとバチカンとの直接のつながりを説明している。

「生涯カトリック教徒である」と自称するヒッチボーン氏は、カトリック教会の一部で道徳が低下していることに「悲しく、おぞましく」思っている。「カトリック教徒はカトリック教徒であり、カトリック教会の名において活動する人々は、その教えのすべてに沿って確実に活動してもらいたい」と述べている。

カトリック教会はトランスジェンダーリズム、同性愛、中絶、避妊を否定してきたが、報告書はコモンスピリット社が、これらすべてを数十の病院や医療機関で推進していると主張している。同氏は、これらの医療介入はカトリック教会が掲げる公式の価値観に「著しく背く」形で行われていると批判している。

報告書によれば、「性別変更手術の実施に加えて、コモンスピリット社は従業員の福利厚生として性別変更手術、トランスジェンダーのホルモン治療、そして子供たちへの思春期遅延薬の投与までしている」。

コモンスピリット社が未成年者に対してトランスジェンダー手術を行ったかどうかは不明だが、思春期ブロッカーを使用していることから、何らかの形で未成年の性同一性障害の治療を行っている、とヒッチボーン氏はエポックタイムズに語った。

「思春期ブロッカーやホルモン治療の科学に迫ると、恐ろしいことに、これは子供たちに永続的な損害を与えるものだ。思春期ブロッカーは、思春期による変化を一時停止させるだけだと言われているが、それは嘘だ。思春期の発達を一時停止させるのではなく、多くの子供が不妊症になってしまうほど、ダメージを与えてしまっている」と指摘した。

報告書によると、コモンスピリット社は、カトリック医療連盟からそのカトリックのアイデンティティを受け継いでいる。その権限はローマのバチカンの「献身の生活の修道院および使徒的生活をする団体のための機関」によって与えられている。

「カトリック教会でコモンスピリット社の行動を判断することができるのは、バチカンだけ」とヒックボーン氏は指摘している。「コモンスピリット社はカトリック医療連盟の下位組織であるため、ローマの教皇と教皇の統治機関にしか従わない」

「内国歳入庁(IRS)の990フォームには、コモンスピリット社が宗教的な免税の恩恵を受けているだけでなく、同団体がカトリック教会の一部であることも確認されている」とヒッチボーン氏は述べた。

コモンスピリット社は、動画や会議でトランスジェンダーの考えや子供の性転換などを含む「LGBTアジェンダ」を推進して、また、性転換手術機器の資金を集め、外科的不妊手術を行い、少なくともその病院の1つは選択的中絶を行ったと報告されている、と報告書は示している。

コモンスピリット社の広報担当者であるフェリシティ・シモンズ氏は、複数の質問に回答していなかった。

2019年2月1日、コモンスピリット社は、ディグニティヘルス社(Dignity Health)とカトリック・ヘルス・イニシアティブ(Catholic Health Initiatives)が「コモンスピリット社」として統合し、21州で新たな非営利カトリック系医療システムを創設したことを公表した。

報告書には、コモンスピリット社の子会社であるデグニティ・ヘルス社(Dignity Health)が運営する26の病院と、バージニア・メイソン・フランシスカン・ヘルス社(VMFH)が運営する12の病院で「トランスジェンダー・ヘルスケア」サービスを提供していることが記されている。そのうちの2つの病院、聖フランシス記念病院(SFMH)とシアトルのバージニア・メイソン・メディカル・センターは、性転換手術を行っているとされている。

「コモンスピリット社の聖フランシス記念病院が提供する手術の一覧には、個人をより男性的または女性的に見せるための顔や体の再建手術、生殖器再建手術、声帯の手術、その他の多くの忌まわしい手術が含まれている」

VMFHのウェブサイトの「性別適合手術」部分では、病院グループが「トップ手術」、「体形整形手術」、さまざまな顔の手術のオプションを公に実施していると明記している。

SFMHは、デグニティ・ヘルス社のウェブサイトの企業紹介ページで、「コモンスピリット社として、私たちが奉仕する人々、特に弱い立場にある人々の健康を改善し、すべての人のための社会正義を進めることによって、神の癒しの存在をこの世界に知らしめる」と書かれている。

ウェブサイトに掲載された報告書によると、エドワード・ファルセス医師は1966年、聖フランシス記念病院で米国で史上初のトランスジェンダー手術を行った人物である。

「それはまさに最初の手術だった」とヒッチボーン氏は語った。

長年にわたり、トランスジェンダーの手術を行う医師が増え、2016年までにVMFHジェンダー研究所が設立された。2019年、同病院はトランスジェンダーの健康に関するサンフランシスコ初の医療会議を主催し、「トランスジェンダー専門の外科医とともにジェンダー研究所の公式発足を記念した」。

カリフォルニア州にある数十のカトリック病院は、「ジェンダー肯定ケア 」として知られる性転換手術のために、患者をSFMHに紹介する方針を示している。

ウェブサイトによれば、病院は「LGBTQA+コミュニティ」への取り組みを続けている。「専門外科医による重要な性別適合手術を私たちのトランスジェンダー患者に提供する」とのこと。2020年には、ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団から「LGBTQヘルスケア品質リーダー」の指定を獲得した。

暴露記事は、病院が2021年にコモンスピリットヘルスに買収された後、病院で行われた手術の数に基づいてサージカルレビュー株式会社(Surgical Review Corporation)から「性別確認手術の優秀センター認定」を取得したと指摘している。

コモンスピリット社の宣伝資料や方針声明では、カトリック医療サービスの倫理的・宗教的指針に縛られたカトリック団体であると主張している。

しかし、「カトリック的なものは何もなく、『まず、害を与えない』というヒポクラテスの誓いに由来する医療倫理の最も基本的な概念すら真っ向から反した手術を行なっている」と報告書は批判している。

レパント研究所の使命は、カトリックやキリスト教と名乗りながら、その行動がキリスト教の基本的な信条を損なっている組織を暴露することだと、ヒッチボーン氏は語った。

同組織は、「政治や他の著名な領域の異端者や背教者のカトリック信者」に対し「信仰を誤って伝えている」と非難し、「内部だけでなく外部からの攻撃からカトリック教会を守ることに専念している」と言及している。

コモンスピリット社が 「カトリック」組織としてのアイデンティティを維持しているという見方は、あらゆる論理的ルールと健全なキリスト教の原則に反している」と、ヒッチボーン氏は報告書で結論付けている。「コモンスピリット社は、そのカトリック病院の職員全員とともに、カトリック病院としてのアイデンティティを完全に剥奪されるべきだ。…神よ、私たちを憐れんでください!」

レパント研究所は、ヒッチボーン氏によれば、「トランスジェンダー・同性愛のアジェンダ」を推進・資金提供しているとされる、「カトリック人間開発キャンペーン(Catholic Campaign for Human Development)」および「カトリック救済サービス(Catholic Relief Services)」に関する複数の報告書や記事を公表している。

「カトリック人間開発キャンペーン」は、「中絶、避妊、同性愛、マルクス主義を推進している団体に資金を提供しているだけでなく、その資金がどこに使われているのかについて多くの人々を欺いている」と彼は指摘している。

南カリフォルニアを拠点とする受賞歴のあるジャーナリスト