[ベルン 15日 ロイター] – ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、スイスに対しウクライナへの武器の再輸出を認可するように要求した。ウクライナに侵攻したロシアを打ち破るためには極めて重要なことだと主張した。
スイスは永世中立の外国政策を堅持しており、スイスから武器を購入した国が紛争当事者に再輸出することを禁じている。2022年11月には、ロシアまたはウクライナに対してスイス製の武器弾薬が送られることを禁止する措置をとった。
ゼレンスキー氏はスイス議会両院に向けたビデオ演説で「ウクライナを守り抜くための戦闘物資の輸出を巡ってスイスで議論されていることは知っている。それ(輸出)は極めて重要なものとなるだろう」とし、「ウクライナの平和を取り戻すために、われわれは武器が必要だ」と訴えた。
ゼレンスキー氏は胸部に「ウクライナ」と記した黒のTシャツ姿で、欧州連合(EU)の制裁措置をスイスが適用したことに感謝の意を表しつつも、必要なことはさらにあると言及。「連帯感を示すことは非常に重要だ。なぜならば制裁はわれわれが(ロシアの)侵略を終わらせるのに役立つからだ」とし、「われわれは制裁を強化しなければならない」と発言した。
スイスはEUによる制裁を適用し、75億スイスフラン(5億5600万ドル)相当のロシア資産を凍結した。一方、ドイツ、デンマーク、スペインが要請したスイス製の弾薬や武器、軍用車両のウクライナへの再輸出許可は拒否している。
演説の中でゼレンスキー氏は、ウクライナに関する世界平和サミットを開催するようスイスに呼びかけた。3月にスイスのベルセ大統領とこの構想について協議したという。
スイス連邦内務省の広報担当者は、ベルセ大統領は今年に入ってからゼレンスキー氏と何度か交流があったとしたが、サミットの可能性についてはコメントを避けた。
ゼレンスキー氏の演説に対し、右派のスイス国民党(SVP)は冷淡な対応を取った。スイスの中立性に反すると発言するなどし、議会内での緊張を招いた。
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