アメリカ社会 上意下達のアクティビズム

元LGBT活動家が暴露、トランスジェンダー運動に潜む危険な動機(下)

2023/06/19
更新: 2023/06/19

(上)はこちら。

女性権利活動家のケイ・ヤン氏によれば、LGBT推進企業の将来的な成功を約束するのは、世界経済フォーラム、国連、BSRといった組織間のネットワークだという。BSRは、社会正義に尽力する300以上の企業からなるビジネスネットワークだ。

エポックタイムズは、国連事務所、世界経済フォーラム、BSRにコメントを求めたが、いずれも回答はなかった。

ヤン氏は、2011年にLGBT活動家としての活動を始めた当初は、トランスジェンダーの理念に賛同しており、「トランス児童」については聞いたことがなかったという。

彼女が働いていたニューヨークのLGBTセンターについて、エポックタイムズの記者が詳細を確認したが、団体の名称に関して、ヤン氏は報復の恐れから非公開を希望した。

同団体は、いじめ対策を名目としたプログラムを実施するために、地元の学校や企業に代表者を派遣していた。しかし、ヤン氏によると、プログラムは子供たちにLGBTを自認するよう促そうとしていたという。

ヤン氏によると、同団体はニューヨーク州保健局から資金提供を受けていたという。

「LGBTを自認する子供が増えれば、より多くの資金が得られる。もちろん、私たちが彼らの教室に行って、子供が知らない色々な言葉を教えれば、より多くの子供がLGBTを自認し始める」。

LGBTセンターが子供たちとトランスジェンダリズムについて話し合い、トランスジェンダーのアイデンティティを推奨し始めたことで、「トランス児童」が現れ始めたと彼女は当時を振り返る。

ヤン氏によれば、彼女の雇用主は「ゲイ、レズビアン、&ストレート・エデュケーション・ネットワーク(GLSEN)」から資金を受けており、同様の資金援助を受ける同様の団体は全米に広がっていたという。

「2011年、GLSENは活動家に対し、男子を女子更衣室に入れないことはLGBT学生に対する『敵意』であると述べた」。

GLSENは2011年にユネスコと提携し、IBMとアーカス財団から資金提供を受け、いじめ防止プログラムを作成したという。アーカス財団は、国際的なLGBT慈善団体だ。

「このいじめ防止プログラムでは、アンケートを用いてLGBTを自認する子供たちが学校でいじめを受けていることを確認した。しかし、このアンケートは望ましい回答を得るために言葉が選ばれていて、現実を正確に反映するためのものではなかった」。

「これはチェリーピッキング(詭弁術)だった。基本的には、すでに『ゲイ・ストレート・アライアンス』に所属している子供たちに聞いていた。彼らはすでに、自分たちがクラスで抑圧されていると信じ込まされていた」。

「LGBTの子供たちは学校でいじめを受けやすいという結果をこの調査が示した後、国連や活動家グループはこの調査結果を利用して、LGBTアクティビズムを促進する国際プログラムのロビー活動を行った」。

「私が所属していた団体は、GLSENを通じてユネスコから間接的な支援と資金を受けていた。そして、2011年にユネスコは、LGBTのいじめに反対する世界的なキャンペーンを開始した」。

しかし、それらはすべて、学校の教室にLGBTに関する議論を持ち込むための取り組みだったという。

もしもトランスジェンダーの生徒のための安全な施設がない場合、つまり男性が女子トイレに入ることが許されない場合、その学校が安全な場所ではないということになる、といったことが言われたそうだ。

2016年5月11日、ノースカロライナ州ダーラムのレストランに設置された「ジェンダーニュートラル」トイレ。(Sara D. Davis/Getty Images)

2019年、世界経済フォーラムは「世界のLGBTIの平等に向けたパートナーシップ」を立ち上げた。「I」は「インターセックス」の略で、男性でも女性でもない性器を持つまれな遺伝的障害を表す言葉だ。

世界経済フォーラムのウェブサイトによると、このパートナーシップは50〜100のメンバー企業を動員し、国連のLGBTIスタンダードの実施を目指している。

グローバル・ジェンダー・アジェンダ

国連の文書は、企業に対し、各国で「LGBTI」の包括性を奨励するよう呼びかけている。同文書によれば、これが「人権の尊重」という方針を発展させるという。以下の通りだ。

「人権とは、LGBTIの人々を差別しないこと、トランスジェンダーの人々を彼らが希望するジェンダー名や代名詞で呼ぶこと、従業員の性転換治療の費用を負担すること、トランスジェンダーを自認した個人を異性の空間に入れること、LGBTIのインフォーマル・スタッフ・グループの設立を支援することを意味する」。

また文書は、企業は乗り気でない従業員にも、「関係者が使用する名前、代名詞、用語、およびジェンダーに敬意を払わせるべき」としている。

さらに文書には、国際的な企業が地域の法律に対処する際の3つの選択肢が示されている。

地域の支店に、LGBT支持というグローバル・ポリシーを保持させつつ、LGBTアジェンダに反する地域の法律にも従わせる。社内でLGBTポリシーを採用するが、地域の文化を変えることには積極的に取り組まない。職場内外でLGBTアクティビズムを推進し、地域の文化に影響を与える。以上の三つだ。

2021年11月1日、グラスゴーで開催されたCOP26にて、米国の気候変動顧問であるジョン・ケリー氏を引き連れ同会合に参加したバイデン大統領 (Kevin Lamarque/POOL/AFP via Getty Images)

国連の文書は、最後に、これらの方針を遵守することが企業にとって最大の利益となり、企業がLGBTの問題をサポートしなければ、顧客や投資家から拒絶され、この変わりゆく世界で苦戦することになると提言している。

一方でヤン氏は、「トランスジェンダー・アクティビズムは人類にとって深刻な脅威であり、それは人体の完全性を脅かすものだ」と警告している。

かつてはその一員だった彼女は今、その脅威に全力で立ち向かっている。

「これは非常に、非常に危険だ」。

エポックタイムズ記者。家族に関する問題や米国のローカルニュースを担当。現在は、教育における親の権利、進歩的イデオロギーの教育カリキュラムに対する影響、青少年のトランスジェンダリズムを中心に取材を行なっている。