警察内で「事情聴取中」に死亡 映像は非公開、体に複数の傷あり=中国 湖南

2023/06/26
更新: 2023/06/26

今月14日、湖南省張家界市慈利県の警察内で、何らかの理由により「事情聴取」を受けていた趙友香さん(女性、56歳)が死亡する事件があった。

死亡した女性の娘・鄧潔さんは、白い綾織りの喪服姿で涙ながらに警察への強い不信感を訴え、人々に助けを求める自撮り動画をSNSに投稿した。

遺体に複数の傷、ビデオ映像は非公開

趙友香さんが警察の事情聴取を受けた理由については、動画からははっきりしない。ただ、あくまでも趙友香さんは「事情聴取」を受けたのであって、事件の被疑者として逮捕されたわけではない。

その趙友香さんが、警察署内で「不審死」を遂げた。警察側は「女性(趙友香さん)がトイレに行く途中で突然倒れた。病院に緊急搬送されたが死亡した」と主張。県の合同調査チームも、女性の死因は「突然死」と発表している。

娘の鄧潔さんは、動画のなかで「母の体には複数の傷があった。さらに、母が死亡したとされる時間(事情聴取中)の監視カメラ映像を見せないなど、警察の対応には不審な点がある」と訴えた。

鄧潔さんは「慈利県公安機関の職務に、拷問などの違法行為があった」と主張する一方、「無力な私には、公安の権力を前にして何もできない。どうか皆さん(ネットユーザー)の力をお借りして、正義が果たされることを望みます」と涙ながらに訴えた。

 

鄧潔さんの動画はSNSなどで拡散され、中国メディアもこの事件を取り上げるようになった。以来、警察への不信感が広がっている。

実際に、女性(趙友香さん)が死亡したという時間、取り調べ室内を記録した約4時間(午前11時15分から午後3時過ぎ)の映像があるはずだが、なぜか警察はその映像を公開しようとしない。この点に関する世論の追及は厳しい。

ネット上には「監視カメラが、また壊れたって。中国の監視カメラは、本当に都合よく故障するなあ」「実に、社会主義の特色ある監視カメラだ」といった皮肉コメントが並ぶ。

さらには「監視カメラ映像を提供できない時点で、警察は限りなく黒(クロ)だ」「中国の警察は信用できない」などの声が広がっている。

「拷問による自白強要」は普遍的

最近、以下の動画も華人圏のSNSで拡散されている。若い女性がカメラを前に叩頭(こうとう)し、涙ながらに助けを求める映像だ。女性が頭をゴツンと床に打ちつける音が聞こえている。

動画の説明文によると、女性は「中国湖南(省)414拷問にかけて自白を強要する案件(中国湖南414刑讯逼供案)」で、拷問を受けた当事者の娘だという。

動画には「彼らは(湖南省の公安)は父の頭を(肥桶に)押さえつけ、無理やり糞水を飲ませました。さらに父の肛門に木の棒を突き刺し、生殖器を電気ショックで痛めつけたうえ、骨まで折ったのです。私は何の役にも立たない娘です。正義のために声を上げてくれる善良な人たちに感謝します」などの字幕が付けられている。

中国の警察における「拷問による自白強要」は中国各地で普遍的にみられるが、違法行為であることは言うまでもない。 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。