ロシアのワグネル反乱は「大混乱」=トランプ氏

2023/06/27
更新: 2023/06/27

ワグネル傭兵団のリーダーであるエフゲニー・プリゴジン氏は23日、ロシア軍トップのワレリー・ゲラシモフ将軍がウクライナの野戦キャンプにいる約2千人のワグネル兵士への攻撃を命じたと主張した後、ロシア軍指導者に対する武装蜂起を呼び掛けた。

トランプ前大統領は同日、ロシア軍とワグネル傭兵の対立を「大混乱」と呼んだ。

プリゴジンの軍勢はウクライナ国境近くのロシア南部の都市、ロストフナドヌーを占拠した。この都市にはロシア南部軍管区の本部があり、モスクワのウクライナ軍事侵攻に対する取り組みを監督している。その後、プリゴジン氏はモスクワへ向けて進軍するよう命じ、この軍事行動を「正義の行進」と呼んだ。

24日、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、反乱を起こしたプリゴジン氏はベラルーシへの出国に同意し、モスクワが彼に対する刑事告発を取り下げるという取引を仲介した。この取引に先立ち、プーチン大統領は、反政府勢力は 「避けられない罰 」を受けるだろうと宣言した。

トランプ氏は同日、「ロシアでは大混乱が起きているが、何を望むかには注意が必要だ。次はもっとひどいことになるかもしれない!」と自身のトゥルース・ソーシャル・アカウントに書き込んだ。

また同日の別の投稿でトランプ氏は、バイデン大統領は中国の習近平指導者の望む方法でロシア情勢に対処すると主張した。

「覚えておいてください。ハンター(バイデン氏の次男)とジョーは違法に両国から多額の金を受け取ったが、今は中国の方がより大きな脅威だ。バイデン氏が現れるまで、中国とロシアは常に天敵であり、中国は人口がはるかに多いため、人口の少ないロシアの土地の大部分を大いに欲していた」

このトランプ氏の発言は、内国歳入庁(IRS)の内部告発により、ハンター・バイデン氏が2017年、中国共産党(中共)と密接な関係を持つ中国人実業家との取引で父親を利用したことが明らかになった数日後のことだった。

トランプ氏は、ロシアの混乱は中国に 「考えられないようなチャンス」を与える可能性があると付け加えた。

ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻する数週間前、プーチン氏と習近平氏は中国で会談し、両首脳は協力に「限界はない」と発表して二国間関係を改善した。

両首脳は3月にロシアで再び会談した。習氏はプーチン氏に対し、隣国同士は 「100年ぶり」の 「変化を推進している」と語った。地政学アナリストは、習氏の発言にプーチン氏が「同意する」と応じたことから、両首脳が中国主導の新たな世界秩序の構築を推進していることがわかると述べた。

ゲーテストーン研究所のシニアフェロー、ゴードン・チャン氏は24日、プリゴジン氏の武装反乱を知った習氏は中国軍をもっとコントロールしたいと思うだろうと示唆した。

「台湾への侵攻を行うために、習氏は司令長官または将軍に中国軍全体の作戦指揮を委ねる必要があるだろう。習氏は以前から慎重だったが、現在、プリゴジン氏の反乱を見て、中国のリーダーはさらに権力を譲ることをためらうだろう。我々は中国を抑止できる」とチャン氏はツイッターに書き込んだ。

別のツイッターの投稿で、同氏は「習近平氏は、ロシアの出来事を見て、自国内の統制をさらに強化しようとしている。中国を離れるにはいい時期だろう」と付け加えた。

中共は、台湾が一度も中共政権の統治下に置かれたことがないにもかかわらず、台湾は自国の領土の一部だと主張している。国際的には、台湾は独自の憲法、民主的に選出された政府、軍隊を持つ、事実上の独立国として広く認められている。

台湾のジョセフ・ウー外交部長は1月、習氏が4期目を求める可能性のある2027年に、中国が台湾を侵攻する可能性が「より高い」と警告した。

しかし、米下院中国共産党問題特別委員会のマイク・ギャラガー議長は今月初め、日本経済新聞とのインタビューで、2027年より以前に台湾と中国の間で武力衝突が起こる可能性があると述べている。

「私は2027年が始まりではなく、終わりであるかもしれないと思う」とギャラガー氏は語った。

台湾在住のジャーナリスト。米国、中国、台湾のニュースを担当。台湾の国立清華大学で材料工学の修士号を取得。