2週間で4人が辞任 米国境当局者の辞任が続く理由

2023/06/28
更新: 2023/06/28

米国への違法移民の流入が過去最高を更新する中、わずか過去2週間でバイデン政権の国境当局者トップの4人がひっそりと辞任した。

この数か月で合計7人が辞任し、その理由については様々な憶測が飛び交っている。

最新は今週、ジョン・ティエン国土安全保障省副長官が就任からわずか1年で辞任を発表した。

米陸軍の退役軍人であるティエン氏は、オバマ政権とブッシュ政権で国家安全保障会議のディレクターを務めた。ジョージア州で家族と過ごす時間を増やすために退職すると語った。

米国移民改革連盟(FAIR)の上級広報担当者アイラ・メールマン氏は、ティエン氏の釈明は「犬が宿題を食べるのと同じようなもの(バレバレな嘘)だ」とエポックタイムズに語った。

「鏡に映った自分を見て、もうこれ以上は無理だと言わなければならない時が来る」と同氏は言う。

メールマン氏は、バイデン氏の 「国境開放」政策の下で、米国全土に広がる完全な混乱状態を指していると述べた。

FAIRは不法移民が米国に与える影響を追跡調査している。6月22日、同団体は不法移民が納税者に1630億ドル(約23兆1238億円)の損害を与えているという報告書の結果を発表した。

同団体はまた、米国に住む不法移民の人口が1680万人に達したと報告した。

報告書に対し、テキサス州議会のトロイ・ネールズ下院議員は「これは50州のうち46州の人口を上回る数字だ」とツイートした。

メールマン氏は、FAIRの権利擁護事務所(アドボカシー・オフィス)は、大量の不法越境者のために住居や仕事の機会が奪われていると訴える米国人の声を、ますます多く耳にするようになったと述べた。

国境の州から遠く離れた町もまた、その影響を感じている。メイン州ユニティは人口約2千人、年収中央値2万7千ドル弱(約387万円)のほぼ白人だけの田舎町である。今週、自称、聖域都市(不法移民に対して寛容な政策をとっている都市)であるポートランドからの約600人の不法移民を引き受けることを知って、町の住民は憤慨した。

国境で働く最前線の労働者たちにも大きな動揺が広がっている。

最近発表された調査結果によると、国土安全保障省(DHS)の調査に回答した9300人の国境警備隊員のうち、4分の1が近い将来仕事を辞める予定を示している。

また、何千人もの移民児童が行方不明になっているという報告など、物議を醸す問題について、バイデン政権が内部告発者を黙らせたと非難する声もある。

国家安全保障・国境・外交小委員会のグレン・グロスマン委員長(ウィスコンシン州選出)は最近、公聴会で、国境の活動に関する調査に携わっている国土安全保障省の監察官関係者が、声を上げることに怯えを感じていると報告したと述べた。

グロスマン氏は6月6日の公聴会のタイトルを 「助けを求めている(Help Wanted): 国境における法執行機関の人員確保の課題」と題した。

5月31日、18の州がバイデン政権に対し、新しい「合法的経路の迂回」政策を理由に連邦政府に提訴した。

州から訴状が提出された同じ日、ラウル・オルティス米国境警備隊長が辞任を発表した。

その数日後、移民関税執行局(ICE)の長官代理であるテー・ジョンソン氏は、州当局に辞意を表明した。

そしてDHSのベンジャミン・ハフマン副長官代理が、わずか1年の任期を終えて6月9日に退任を発表した。

彼らの退任は、11月に物議を醸した税関・国境警備局のクリス・マグナス長官の退任に続くものだ。

マグナス氏は、アレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官が「そうしなければクビにする」と脅したとの報道を受けて退任した。なぜマヨルカス長官がマグナス氏の解任を望んだのかは明らかにされていない。

ティエン氏と同様、マグナス氏も職についてわずか1年だった。

3月の下院国土安全保障委員会で、国境は安全だというマヨルカス氏の主張を否定する率直な証言をした後に、オルティス氏は辞任した。また、マヨルカス氏の報告よりもはるかに多くの不法入国者が国境警備隊から逃れていると証言した。

オルティス氏の辞任を受け、クレイ・ヒギンズ(共和党、ルイジアナ州)下院国土安全保障国境警備小委員会委員長は、マヨルカス氏が米国を 「第三世界の国 」にするのを邪魔する国境関係者を排除していると非難した。

「オルティス氏の法の執行に対する献身が、米国に不法滞在者と麻薬を氾濫させるというマヨルカスのアジェンダとうまく合わないことは明らかだった」とヒギンズ氏は指摘した。「オルティス長官は米国の愛国者だった。マヨルカス長官の真実をあえて語った」と述べた。

ロサンゼルスの移民弁護士ニコレット・グレイザー氏はエポックタイムズに応じて、この辞任が「政治的」であることはすぐにわかったと語った。

同弁護士は、入国管理裁判所制度の改革が進んでいないことを指摘し、裁判官や弁護士が「間違いなく国境当局の良心を試す」政策に苦しんでいると指摘した。

23年にわたり不法移民の米国市民権取得を支援してきたグレイザー氏は、バイデン氏の移民政策の不均衡は極端であり、職業能力のある移民が入国できない一方で、審査を受けていない移民を通過させていると述べた。

すでに米国に滞在先がある人たちも同様だと述べ、米国で安定した生活を送っている家族と一緒になろうとするケースを説明した。

グレイザー氏によれば、帰化した米国国民の親族の申請処理に4年以上かかったケースもある。

「今現在、私たちは実に後ろ向きのアプローチをしている」と指摘。

他の辞任した国境担当には、CBPのブライアン・ヘイスティングス法執行作戦局長が含まれている。

日頃から「国境の危機」について公言していたヘイスティングス氏は、2年間勤務した後、テキサス州エルパソの主任パトロール捜査官グロリア・チャベス氏にひそかに交代した。

チャベス氏は現在、RGVの主任パトロール捜査官である(エルパソから移動)。その後、彼女が仕事を増やしたのか、仕事を変えたのか、私は知らなかった。いずれにせよ、エルパソは時代遅れだ。そして、「オペレーション・ディレクター」という肩書きがいつから使われているのか、もう一度確認しておこう。

米国境警備隊の法執行作戦局長代理であるトニー・バーカー氏は、女性職員によるセクハラ疑惑で1月に職を辞した。

これまでのところ、バイデン政権からトップ国境当局者の大量退職について発表された唯一の声明は、米税関・国境警備局の代行長官代理であるトロイ・ミラー氏から出された声明だけである。彼は既存の上級国境リーダーたちに感謝の意を表明した。

「私は、去って行く上級リーダーたちの奉仕に非常に感謝しており、新たな幹部たちが、米国国民、我々の祖国、そして我々の価値を保護するという任務に対して何を達成するかを楽しみにしています」とミラー氏は6月9日の声明で述べた。