中国 共産中国の脅威

中国共産党、オープンソース情報を収集=レポート

2023/06/29
更新: 2023/06/29

脅威に関する(機密)情報を扱う会社Recorded Futureが今月発表した報告書によると、中国共産党政権は、米国を弱体化させ、軍事的な優位を得るために、オープンソース情報(OSINT)を悪用する新たな手段に投資しているという。

中国共産党(中共)は世界中の一般に公開されている情報源から実用的な情報を収集するために、新たな調査・分析サービスと契約している。

中共の軍事部門である中共軍は自身の目的のために、米国や同盟国の情報を吸い上げるために作られた組織の拡大から、ますます利益を得ていると報告書は主張している。

報告書では「民間企業、国有企業、国営研究機関、大学からなるエコシステムが拡大しており、研究サービス、プラットフォーム、データを提供することで、オープンソース情報を活用しようとする中共軍の動きを支えている」と指摘している。

「中共軍は、将来の紛争に備えて、意思決定を支援し、潜在的な外国の敵対者をよりよく理解するために、これらのデータを使用する可能性が非常に高い」

海外からの情報の取得を自動化

報告書は中共軍にサービスを提供する中国の民間OSINTプロバイダー5社の概要を紹介した。また、2019~23年までの中共軍の文書、中国の学術論文、中国のOSINT調達記録コレクションの独自の分析も提供している。

中共支配下の中国は「偏執的で秘密主義的なシステム」を築き上げた。報告書は中国の内部概念や意思決定についての情報は公開せず、他国の機密情報を利用して米国と同盟国の軍事能力に対する理解を深めていると指摘している。

報告書は、中共軍の主体が「外国の軍事能力、施設、ドクトリン、意思決定、武器、装備、科学技術、演習、訓練、情報、配備」を得ようとしている。また、「地政学的動向、外国のシンクタンク、外国の防衛産業企業、一般的な科学技術の発展、その他の非軍事的トピックに関するOSINT」を求めていると指摘している。

報告書が強調した例の一つに、中国の最高防衛機関である中央軍事委員会の職員が2020年に発表した論文があげられており、その論文では最近の技術開発により、政府、軍、科学雑誌、大学など、海外のインターネット情報源からの継続的で自動化された情報収集が容易になったと主張している。さらに、論文著者はこれらの情報が中共の作戦能力を向上させ、司令部の意思決定をサポートすると主張していると、報告書は述べている。

「彼らは、このインターネットベースのOSINTが作戦部隊、装備建設、作戦能力、軍事演習、戦場環境、その他の話題に関する効果的な情報源であると主張している」と報告書は述べている。

2019年に遡る別の例では、中共の国内諜報機関と関係のある大学の研究者が、政府、軍、諜報機関、大学全体からのOSINT貢献の統合をどのように推進したかを検証している。

 

個人は中共からデータを守るために全員努力が必要

世界中から公開されている情報をより効果的に活用するという中共の取り組みは、同政権がより違法なスパイ活動による影響の増大に直面しているときに行われている。

米国の核施設を狙うスパイ気球の使用や、海外に住む華人に対する国境を越えた弾圧活動は警戒を呼び起こすかもしれないが、一般に入手可能な情報の組織的な収集は気づかれない可能性が高い。

報告書は、この目的を達成するために、中国の国有原子力機関、造船会社、陸軍および士官学校がOSINT収集能力を拡大している可能性が高いとしている。

報告書は「中共軍は、米国、台湾、日本、豪州、韓国、英国、仏国、独国、 印、露などの国々の特定のターゲット、テーマ、問題に関連する 情報に関心を持っている」と述べている。

「中共軍はほぼ確実に、OSINTを意思決定を支援し、新たな収集、処理、分析技術の使用を必要とする、ますます価値ある軍事情報の源として見ている。これらを積極的に開発している」

中共政権は自身の情報を世界から遮断しようとしている。報告書は、米国や他のオープン社会は、OSINT領域での軍事的な優位性を失う恐れがあると警告している。

「このOSINTは確実に中共軍に外国の軍事能力、施設、ドクトリン、意思決定、武器、装備、科学技術、演習、訓練、諜報、配備に関する洞察を提供し、明らかな諜報上の優位性を提供する」

「中国が情報環境を開放する可能性は低く、また西側諸国が情報環境を閉鎖する可能性も低い。そのため中共はOSINTにおいて西側諸国軍に対する優位性を維持する可能性が高い。

民主主義社会が世界から情報を遮断する可能性は低いため、政府からソーシャルメディア・プラットフォーム、個人に至るまで、中共があらゆる情報を収集していることを理解した上で、オンラインに注意を払う必要がある、と報告書は強調している。

「政府、軍、研究機関、企業、報道機関、ソーシャルメディア・プラットフォーム、そして個人は、中国軍と中国の防衛産業が新しいテクノロジーを使って、情報収集の目的で一般に公開されている大量のデータを収集、処理、分析していることを認識し、こうした情報収集の努力を軽減するための措置を講じることを検討すべきである」

エポックタイムズ特派員。専門は安全保障と軍事。ノリッジ大学で軍事史の修士号を取得。