日本でも処方される肥満治療薬…ダイエット目的は「深刻な副作用」も=カナダ保健省

2023/06/30
更新: 2023/06/30

日本でも処方されている肥満症の治療薬「オゼンピック(セマグルチド)」。本来は2型糖尿病に対して使われるものだが、今や美容やダイエットが目的の「やせ薬」として利用する人も多い。カナダ保健省は「腎不全を含む重大な副作用を引き起こす可能性がある」と、適応外使用には注意を呼びかけている。

カナダ保健省は今月、ダイエット目的でセマグルチドを使用することで膵炎、深刻な低血糖、胆嚢の問題、重篤なアレルギー反応、甲状腺腫瘍、腎不全を含む「深刻な副作用」を引き起こす可能性があるとの警告を発表した。

奇妙な夢

セマグルチドを使用することによって精神的な影響が出る可能性もある。米ウォール・ストリート・ジャーナルの4月18日付は、セマグルチドを使用している人の多くが、奇妙な夢を見ると報じた。

セマグルチドの製造元「ノボ ノルディスク ファーマ」の広報担当者は、同メディアの取材に対し、使用者が異常な夢を見たという報告を受けていることを認めたが、その現象と薬を関連づけるだけの十分な情報は持っていないと主張した。

病的な食欲不振

専門家によれば、セマグルチドの適応外使用により、病的な食欲不振を招くこともある。

セマグルチドの開発に携わってきたイェンス・ホルスト教授は6月12日の米ワイアードとのインタビューで、「セマグルチドの使用により空腹感を人為的に最小限に抑えることができるが、1、2年続けていると生活がつまらなくなり、食べる喜びを失う可能性がある」と警告した。

肥満医学の専門家であるダニエル・マセリ医師も、セマグルチドは安全で効果的な減量薬であることが証明されているとした上で、「人によっては食欲が過剰にコントロールされ、食べる喜びを失い、病的な食欲不振を起こすことがある」としている。

栄養失調

セマグルチドによる体重減少効果は『The New England Journal of Medicine』誌に発表された研究でも証明されている。体格指数(BMI)30以上の成人1961人を対象として研究を行ったところ「持続的で臨床的に意義のある体重減少がみられた」と結論付けている。

一方で栄養失調に陥るケースもあり、4月23日付のニューヨーク・タイムズ紙の報道は、ニュージャージー州の女性がセマグルチドを使用して栄養失調になった例などを挙げた。

副作用は稀

「ノボ ノルディスク ファーマ」のアソシエイト・ディレクター、ケイト・ハンナ氏はエポックタイムズに寄せた声明で「重篤な有害事象(膵炎、胆嚢障害、重篤なアレルギー反応、腎不全)は稀だ」と主張。「最もよく見られる消化管機能障害も時間の経過とともになくなる」とした。

「患者の安全性と、処方者および患者への適切な情報提供を確保するために、保健当局と緊密に協力している」

英語大紀元記者。担当は経済と国際。
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