「中共の脅威は世界に及ぶ」 香港人団体がニューヨークで「レノン・ウォール」開催

2023/07/05
更新: 2023/07/05

今月1日、米ニューヨーク市にあるワシントン・スクエア公園で、香港人団体NY4HKによる「レノン・ウォール」のイベントが開かれた。

「レノン・ウォール」とは、もとはチェコのプラハにある壁であるが、1980年にビートルズの元メンバーであったジョン・レノン氏が殺害されたことをきっかけに、多くの人がこの壁に絵やメッセージを寄せるようになったもの。当時のチェコスロバキアをふくむ、自由を抑圧する社会主義体制への反対を表明する場にもなった。

2014年ごろから、香港にもこの「レノン・ウォール」が出現した。

2019年からの逃亡犯条例改正案反対運動、いわゆる「反送中」ときには、香港市民による「レノン・ウォール」が何十カ所にも現れ、中国共産党による香港への強権統治に反対の意思を示した。香港のレノン・ウォールは、ペンキで直接壁に描くのではなく、市民が「付箋紙」に書いた自分の言葉を張り付ける形式が多かった。

今月1日、ニューヨークに集まった香港人や香港出身者は、段ボールでつくった「レノン・ウォール」に写真や文字を貼り、4年前の「香港版レノン・ウォール」を再現した。

彼らは、公園を訪れた市民や旅行者に対し、自由が奪われた香港の現状を伝えるとともに、中国共産党が、香港のみならず世界にもたらす脅威についても語り、警鐘を鳴らした。

この「レノン・ウォール」には、香港市民だけでなく、在外香港人や外国人の言動まで規制の対象とする香港国家安全維持法(国安法)の異常さ。中国共産党が支配するTikTokの有害性。さらには、中国のスパイ気球、強制労働による製品を販売する中国企業、中国政府による米国大学への浸透、中国のフェンタニル(鎮痛剤の一種)がどのようにして米国に入ったのかなど、一般にはあまり知られていない多くの真相が書かれている。

主催側の黄氏は、このようなイベントを通じて「中国共産党の戦術や米国が直面するリスクについて、人々に知ってもらうとともに、警戒意識を高めてもらいたい」と訴えた。

イベントが行われた7月1日は、ちょうど中国共産党が「創立記念日」と定める日でもある。ただし実際には、上海で第1回党大会が開かれたのは1921年7月23日からであり、7月1日がそれに該当する日ではない。香港国家安全維持法(国安法)が制定されたのも2020年のその日、7月1日である。

参加者は、香港での抗議デモ参加者がよく口にするスローガン「光復香港時代革命(香港を取り戻せ、時代の革命だ)」のほか、「Anti-Chinese Communist Party(中国共産党に反対する)」と書かれた横断幕も掲げて、香港の自由を抑圧する中共に抗議の意を表した。

現在の香港では、2019年の頃のような大規模な抗議集会やデモが許されないばかりか、少人数の集会や芸術家による自由なアート表現でさえも当局の規制を受けるようになっている。

また、香港政府は先月6日、2019年の香港抗議デモで歌われた楽曲「香港に栄光あれ」の放送や配信を禁止するよう香港高等法院(高裁)に申請した。

これによって、例えば日本人の歌手がギターをかかえ、香港の街角で「香港に栄光あれ」を日本語で歌唱しても、すぐに香港警察が飛んできて拘束される可能性が高くなったことになる。もはや今の香港は、かつて日本人が観光や美食を楽しんだ自由都市ではない。

いっぽう、中共の抑圧をのがれ、海外に散らばった香港人による闘いは依然として続いている。

この日も「嵐の中にあっても自由をきつく抱きしめる」「香港人はあきらめない」などの力強いメッセージを、ワシントン・スクエア公園の「レノン・ウォール」に書き込んだ香港人が多数いた。

 

「レノン・ウォール」を見る人たち。(林丹/大紀元)

 

参加者が掲げる横断幕。(林丹/大紀元)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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