中国で近年、若者の自殺者が増えている。
中国政府傘下の中国疾病予防コントロールセンター(CDC)が先月発表した最新研究によると、中国で自殺が原因で死亡した子供(5~14歳)および青少年の数は、2010年から2021年の間に、年平均10%近く増加しているという。
また、同センターによる「2021~22年における中国国民精神衛生調査」の結果、「中国の18~24歳のうつ病発症リスクは24.1%」とされている。
自殺の主な原因は「学業から受けるプレッシャー」や、昨年12月まで3年間続けられた「ゼロコロナ政策」による学校内での「軟禁状態」など、厳しい規制がもたらす精神的ストレス、などとされている。
しかし、ゼロコロナ政策は終わっている。本来ならば、若者は一定の解放感を得られるはずだが、実際それには程遠い。やはり、昨今の就職難からくる「大学を卒業すれば失業」という現実の厳しさなど、経済情勢の悪化がもたらすさまざまな要因によって、若者は精神的に追い詰められているのであろう。
そうした中国の若者が「寝そべり(躺平)主義」や「四不青年(恋愛しない、結婚しない、子供は作らない、家は買わない)」に向かうことは、単なる若者の無気力現象ではなく、そうせざるを得ない社会の現状がある。つまり中国の若者は、伝統的な価値観(富裕や立身出世主義)を捨てることによって自己防衛するしかないのである。
今年3月20日の前後5日間だけでも、天津市では7人の学生が飛び降り自殺している。成都市でも今学期(2月~6月)に、10数人の学生が自殺した。
近頃では「一緒に死ぬこと」を目的とした見知らぬ人たちがSNSを通じて落ち合い、その場所で「集団自殺」する現象も起きている。
今年4月4日、23歳から34歳の若者4人(男3人、女1人)が湖南省の名山「天門山」で一斉に農薬を飲み、崖から飛び降りて自殺した。4人は全く異なる場所から集まっており、それぞれ福建省、河北省、河南省、四川省の出身だった。
4月22日未明、四川省の森のなかで、外地から来た若者3人の遺体が発見された。3人は同時に毒を飲んで自殺したとされる。また、北京の若者3人が、地下鉄の車内で農薬をあおり、倒れ込む様子を映した動画もネット上に出回っている。
これらの現象について、カナダ在住の中国人作家で人権活動家の盛雪氏は4月25日、国際放送「希望の声(soundofhope.org)」の取材に対し、次のように分析している。
「深刻な経済状況の悪化のなか、仕事にありつけない中国の若者は人生に絶望している。(海外の)自由な環境にいる人たちは、信仰を持つことができる。信仰は私たちに力を与え、精神的な支えにもなってくれる。しかし中国では、信仰は最も危険な領域の一つなのだ」
「中国共産党体制の中国は、人々が真に良い生活を送るためのあらゆる道を塞いでしまった。だから、経済が崩壊すれば(中国の) 若者は人生に希望や意味を見出すことが出来なくなるのだ」
それぞれの若者は、自分が信じてきた「人生の成功」を夢みて、必死で受験勉強するなどの努力を重ねてきた。しかしその「夢」が霧のように消えた今、彼らは、人間の精神の支えとなる健全な信仰を持てていないのだ。
中国の若者たちは今、それぞれが抱えた大きな苦悩をどうすることもできず、多くの寺廟や道観を参拝して「神頼み」をしているが、それは純粋な信仰とは言えないだろう。
若い命を自ら断つという結論に至る前に、あなたにはまだ、できることがある。
それは決して「神頼み」ではない。あなたがまだ子供の頃に、中国共産党がその首に巻きつけた精神の鎖を自分の意思で断ち切ることだ。具体的には、これを「脱党声明」という。中共を完全に捨てたときに見えてくる「新しい道」が、あなたには必ずある。死ぬことは、今はしてはならない。
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