潜在性結核感染症を持つ数千人の不法移民の未成年者が、ここ1年の間に米政府の留置施設から米国内に釈放されていたことが、当局の報告書で明らかになった。
米国保健福祉省(HHS)の報告書によれば、2022年6月1日から2023年5月31日までの間に、潜在性結核感染症の未成年者たち約2500人が44の州に釈放された。同期間には、合計約12万6千人の未成年者が解放されていることから、50人に1人が結核菌に感染していることになる。
現在、HHSに保護された不法移民の未成年者は2日以内に健康診断を受け、必要な場合ワクチン接種などが行われる。しかし、難民定住局の少年コーディネーターであるミランダ・メーゼ氏によれば、治療に3~9か月を要する潜在性結核感染症の場合は治療対象外のため、州保健当局に通知した上で、感染した未成年者を保護者の元に開放する措置を取っているという。
メーゼ氏は、結核を発病し蔓延すれば「個人の健康と公衆衛生に対する脅威だ」と指摘した。
米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、潜在性結核感染者には症状や感染性はないが、治療を受けなければ、感染者の5〜10%が結核を発病する。一方、結核を発病すると空気感染の恐れがあり、適切に治療しなければ、死に至ることもある。
現在、不法移民の感染症に関して政府の対応が追いついていないのが現状で、HHSの州保健当局への通知の遅れなどが指摘されている。
ポール・ゴーサー下院議員はエポックタイムズの取材で「バイデン政権は、米国人を守るどころか、病気と死を私たちの目の前に運んできている」と同政権の国境政策を非難した。
疥癬やシラミも
結核のほかに、疥癬やシラミなども問題視されている。
テキサス州の国境警備隊チーフ、アーロン・ハル氏は2019年、米フォックスニュースのインタビューで「入国してくる外国人の多くは、水ぼうそう、疥癬、結核、シラミといった感染症を持っている」と指摘した。
連邦法によると、移民は破傷風、ポリオ、はしかなど「ワクチンで予防可能な病気」の予防接種を受けた証明書を提示しない限り、米国に入国することができない。
しかし、当時の米国税関・国境警備局のケビン・マカリーナン局長は2019年、不法移民たちの多くがワクチンを受けていないと議会で語った。
「私たちが遭遇する個人(不法移民)の多くは、医者にかかったことも、予防接種を受けたことも、衛生的な環境で生活したこともないかもしれない」「列車やバスでの密接な環境は、感染症の蔓延を早める可能性がある」と危機感を示した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。