今日の中国では、社会のあらゆる場面で深刻な腐敗が横行している。そのようななか、学校関係者が個人的に保護者から賄賂を受けとり、小中学校の募集定員のうち「一定の枠」を販売する、いわゆる「裏口入学」は以前から存在していた。
もちろん正規の生徒募集ではなく、多くのケースで収賄がからむので、従来は密かに行われていたことである。しかし、それが今では、公然とネット上で「広告」を出すほど露骨になっているのだ。
しかもこの事実を暴露する記事を掲載したメディアに対して、市教育局から直接「削除指示」が出されていたこともわかった。教育界のあまりの腐敗ぶりに、保護者の間では嘆きの声が広がっている。
教育に関わる者たちの横暴
最近、河南省鄭州市の市民のウィーチャット(微信)の「 モーメンツ(投稿した情報を友人同士で共有しあう機能)」や「今日頭條」などのSNS上に、小中学校の募集枠の「販売情報」が大量に流れているとして、複数の地元市民が省直属の官製メディア「頂端新聞」の苦情プラットフォームを通じて、市の教育局長や市長への苦情を申し立てていたことが同メディアの報道で明らかになった。
ところが17日、これに関連する記事を掲載した「頂端新聞」に対して、市教育当局の幹部から削除要求があったという。
つまり教育を管轄する役所が、報道を使命とするメディアに対して「記事を削除せよ」と要求してきたのだ。市教育局の役人が記事の削除を要求する際には、汚い言葉を何回も発していたこともわかった。
これに対して「頂端新聞」は、「裏口入学の件に関しては、今後も引き続き追及していく」と返答していた。しかし翌18日、どのような当局の圧力があったかは不明だが、プラットフォームに掲載された関連苦情も含め、「頂端新聞」の関連報道は全て削除されていた。
「正義の声を黙らせる」腐敗の温床
ネット上に出回っている「関連広告」のスクリーンショットからして、数十の学校がこの裏口入学に関わっていることがわかっている。
これらの広告では「販売できる枠」について具体的に学校名や枠(人数)まで明記するケースも多く、該当学校の公式の合格ライン(点数)に届かない場合「マイナス何点の範囲内であれば大丈夫」などの裏情報もあからさまに載っていた。
ネット上では、今回もまた「問題を解決せずに、問題を提起する人(メディア)を解決する」の典型的な例だとして、批判の声が広がっている。
「問題を解決せずに、問題を提起する人を解決する(不解決問題,只解決提出問題的人)」とは何か。つまり問題の根本を解決するのではなく、問題を指摘したり提起した人に対し、圧力をかけることによって「黙らせる」という意味である。
この言葉は、中国の権威ある機関や当局を批判する際のお決まりの慣用句であり、現代中国語のなかでは、よく知られた流行語の1つにもなっている。
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