やはり出た、中共お手盛りの「愛国プロパガンダ動画」 中国の民衆は覚醒へ向かうか

2023/08/08
更新: 2023/08/08

このごろ、壊滅的な洪水被害を受けた河北省涿州市で撮影されたとする複数のプロパガンダ動画が、ネット上に流れている。

映っているのは、大勢の「市民」が沿道に出て、同市から撤収する民間救援隊を熱狂的に見送る場面である。そのなかで「市民」は道を挟んだ両側で手を振り、赤い横断幕を掲げ、中国国旗の小旗を振っていた。横断幕には「涿州の恩人よ、道中ご無事で(涿州恩人,一路平安)」などの、救援隊へのお礼のメッセージが書かれている。

ただしその時、救援隊の隊員がどんな表情であるかは映像に映っていないので知ることはできない。

これが「市民の自発的な行動」か?

なかには、救援隊員が乗る車両に駆け寄って、その窓へ「お礼の品」を強引に押し込む人の姿もあった。ずいぶん乱暴な仕草にも見えるが、こうすることで熱狂的な「謝謝」を映像的に表現しているつもりらしい。

きちんとカメラに撮影されるポジションでそれを行うのは、なかなかの芸達者といってもよいが、そもそも、果たしてそれが本当に民衆の感謝の表れなのか。あるいは、あらかじめ仕組まれた演出なのか。

関連動画には寄せられたコメントのなかには、以下のような鋭い分析もあった。

「この洪水被害のなかで(被災者が)どうやって横断幕を用意するというのか?」

「3人や5人が集まるだけで、違法集結と言われる時代だ。これほど多くの民衆が横断幕を掲げて何かをやることは、とても市民による自発的な行動とは思われない。背後に政府の指示がなければ、絶対に不可能だ」

(以下の動画は、撤収する民間の救援隊を見送る涿州の市民。映像を見る限り、市民の善意による「自発的行動」というより、いかにも演出されたような、白々しい空気感は否めない)

 

別のバージョンの動画もある。こちらの「涿州市民」も中国国旗を手にして、あまり上手ではない愛国歌を歌っている。

よく見ると、そのなかの一部の市民が、同じデザインのピンクのベストを着ている。この点からしても、明らかにお膳立てされ、衣装も小道具も撮影用に仕込まれたプロパガンダ動画であることが想像される。北朝鮮の光景にやや似ているようだが、どうしても「にわか作りの未熟さ」は隠せない。

中国では大きな災害があるたびに、官製メディアは決まって「人民に寄り添う共産党」のイメージアップを狙った内容のコンテンツを大量に作ってきた。

今回のこうした動画も、当局が被災地の実状を隠蔽するために軍所属の武警を現地に入れ、民間の有志の救援隊を「撤収」させたことと引き換えに、彼らを英雄扱いし、華々しく見送る場面をショーアップしたものと言えるだろう。

こうした演出の陰で、本当の被災地へ投入された武警の部隊は今、無数に散乱する遺体をかき集め、身元確認もしないまま、まとめて穴に埋めるなどの隠蔽工作をしているはずだ。

涿州市は、当局による事前通告なしのダム放水により、住民が避難する間もなく市のほぼ全域が水没した。市の中心部ではようやく水は引いたが、まだ浸水している地域もある。ここまで壊滅的な被害をもたらした原因は、もちろん自然災害ではなく、中国共産党政府による「人災」であることは疑いない。

そうであれば、政府が組織する「愛国・愛党のプロパガンダ動画」などに、水害で親族を亡くし、家や生活の全てを失って悲嘆に暮れている「本当の被災者」が、喜んで旗を振り、笑顔で参加するだろうか。

こうした愛国プロパガンダに参加するのは、とことん洗脳された「愛国(愛党)者」であるか、さもなければ報酬目当ての「役者」以外にいない。動画を見る限り、どこか気が抜けたような歌い方からして、後者(報酬目当て)の可能性が高いだろう。
 

(政府のプロパガンダ動画撮影の現場。このなかに「本当の被災者」がどれだけいるかは、分からない)

ネット上では、一般民衆が覚醒しつつある

中国関連ニュースを扱うセルフメディア「新聞看点」の司会者・李沐陽氏は最近、ある画像を転載した。

その画像とは「一般民衆が覚醒し始めている。希望は低層(の民衆)にある」と書かれた、どこかのSNSグループチャットに現れたチャット履歴画面だ。このなかで、あるユーザーは以下のように書いている。

「こっちでは皆、愛国者や愛党者は一律に『友達の輪』から締め出す、と宣言しているよ。なかにはグループチャットから締め出される人も多い。これはすでに共通認識になっている。というのは、この連中はどうしようもないバカか、さもなければ悪賢い偽善者でしかないからだ。だから、この類の人間とは仲間にならないのさ」

「天災よりも、人災の要素が大きい」といわれている今回の洪水災害を通じて、人命より党のメンツを優先し、徹底して情報統制を行う中国政府のやり方に、被災民および中国の一般市民は憤っている。しかし、いくら不満が溜まっていても、その声を外部に発信することは難しい。

テレビをつければ、バラエティから歌謡ショーまで、どれも洗脳的なプロパガンダ番組しかない。携帯やパソコンを開けば、検閲済みの情報しか見ることができないのが今の中国民衆である。

そうした八方塞がりの状況ではあるが、当局がひた隠す「被災地の真実」が白日の下にさらされた時、中国で本当の全民覚醒が起きるだろう。

今、海外では「中国のファイヤーウォールを壊せ拆牆運動、#BanGFW)運動」が巻き起こっている。

「もし誰かがこの活動のために犠牲になる必要があるとするならば、私がその第一号になる」。そのように死をも恐れぬ毅然とした覚悟を表していた運動発起人の喬鑫鑫(きょう きんきん)氏は、今年5月末に滞在先のラオスで中国当局の「越境逮捕」に遭い、消息を絶っている。

喬氏は以前から「中共のファイアウォールは、中共が生き残るための最後の障壁だ」として、この壁の排除を呼びかけてきた。こうした「壁」が倒され、一般民衆が真実を知って覚醒したその時、中国共産党は消滅する。消滅とは、生き残ることができず、死んでしまうことを指す。

中国の庶民が「生き残るために、なすべきこと」

全ての中国人にとって、それは他人事として進む歴史ではない。自らの意思で「脱党宣言」することによって中国共産党の鎖を断ち切り、神の側に立つことを明確に選択しなければならないからだ。

中共に洗脳されたままの中国人であることは、滅びる中国共産党と運命をともにすることになる。この度の中国北部を襲った大水害は、昨年末まで続いたコロナ禍にも増して、中国の民衆に「最後の選択の機会」を与えることになったと言ってよい。

中共とともに滅びるか。中共から完全に離脱して、かろうじて生き残るか。これを言い換えれば「悪魔に魂を売るか。覚醒して、神の側に立つか」ということに等しい。

この究極の選択を前に、もはや残された時間はほとんどない。中国の民衆は、いま目覚めなければ、中共とともに滅ぶのである。歴史は極めて単純に、しかも短期間のうちに、その結論を出すだろう。

付言すれば、中国共産党にちかいとされる海外の国(日本もふくめて)も、そうした神の裁きを免れることはない。日本が関係を一から作り直すべき中国は、中国共産党が滅亡した後の未来に存在する。それゆえに日本は、いま滅ぶべき悪魔に「延命の輸血」をしてはならないのだ。

このたびの大災害は、中国の民衆にとっては誠に気の毒ではあるが、中共を終焉させるために天が配した厳然たる歴史でもある。

言い換えれば、その定められた結果に至るまで、大災害や天変地異はこれからも続く。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。