米国前副大統領のマイク・ペンス氏は、世界最大のエネルギー生産国を目指すエネルギー政策を発表した。共和党の大統領候補として立候補しているペンス氏は8月8日に公開された選挙戦の声明の中で、エネルギー優位性を国家の安全保障と経済成長のために不可欠であると述べた。
声明にはこのように記載されている。
「エネルギーの採掘、生産、輸送、および供給は、国内の人々やコミュニティの生活を変える経済的な機会だ」
「ウクライナの戦争や欧州のエネルギー危機が示しているように、エネルギーは地政学的な武器だ…私たちは世界中での影響力を維持するために、あらゆる種類のエネルギーを生産し輸出しなければならない」
「再び世界をリードするためには、米国のエネルギーを採掘し、生産し、輸送し、供給しなければならない」とペンス氏はX(旧Twitter)に書きこんだ。
この計画は、石油や天然ガスの国内生産の増加および鉱物の採掘に大きく依存しており、ペンス氏の計画が実施されれば、環境保護を目指し、エネルギー生産と消費をいわゆる「クリーンエネルギー」にしようとしているバイデン大統領のエネルギー計画の多くが解体されるだろう。
2021年に就任直後、バイデン大統領は2030年までに新車販売台数の半分をゼロエミッション(炭素排出ゼロ)車にするという大統領令を出した。電気自動車(EV)もゼロエミッション車と見なされている。
今年4月に、バイデン氏はゼロエミッション車への切り替えを加速する排出ガス基準を発表した。
批評家たちは、国内のサプライチェーンは上記のスケジュールに十分迅速に対応できないと指摘し、変更を強制することは、中国依存を高めることになると主張した。
中国は現在、EVの電源となるリチウム電池の生産に使用されるものを含む、大多数のレアアース鉱物の生産や加工を管理している。
ペンス氏は、バイデン時代の鉱業禁止令を撤廃し、鉱物の生産規制を緩和する予定である。ただし、同氏の計画は、代替エネルギー源への移行を遅らせるだろう。
石油とガス
ペンス氏はあらゆる形態のエネルギー生産を奨励すると述べているが、同氏の計画は化石燃料の生産を促進する方向に重きを置いている。
つまり、この計画は、エネルギー生産の承認時間を半分に短縮し、油田とガス掘削のために連邦土地を開放し、天然ガスのパイプラインと貯蔵施設を拡大し、石油精製能力を増やし、訴訟によって中止された掘削プロジェクトを再開し、電力生産に関する連邦排出規制を削減し、国の戦略的石油備蓄の再補充を求めている。
また、ペンス氏は、あるタイプのエネルギーを他のタイプよりも優先すると主張する減税や税額控除も廃止する予定だ。
声明には、このように書いてある。
「政府は石油、石炭、ガスの生産制限に努めてきたが、納税者を犠牲にしてクリーンエネルギーに補助金を出している。ペンス前副大統領はエネルギー市場の勝者と敗者を選ばず、あらゆるエネルギーに対する納税者補助金を拡大するいかなる法案にも反対する」
これは、EVや家庭用ソーラーパネルの購入に対する税額控除を含むバイデン大統領のクリーンエネルギー税政策を指しているとみられる。
国際会計事務所デロイトによると、ペンス氏の声明では、国内の石油生産を奨励することを目的とした、石油製品の生産者に与えられる税額控除については言及していなかった。
環境
ペンス氏は経済連携協定(EPA)を閉鎖し、その機能を他の連邦機関に分散させると述べたが、トランプ・ペンス政権下で環境条件が改善する一方で国内のエネルギー生産は増加したと主張している。
8月6日、CNNのインタビューで、ペンス氏は「私たちはパリ気候協定から脱退したが、実際にはCO2の削減においてパリ気候協定の目標を超えていた」と指摘し、イノベーションと米国のエネルギーを解放することによって、パリ気候協定の目標を超えていたのだと語った。
ペンス氏はこのように述べている。
「私たちの政権下で、国の歴史の中で最も清潔な空気、水、土地を持っていた。私たちは米国経済を崩壊させることなく、環境の目標を達成することができると信じている」
「私たちの政権下でガソリンは1ガロン2ドルだった。エネルギーの独立も達成した。私たちはそれを再び達成できる」
批評家たちは、トランプ政権が規制緩和を通じて環境保護を弱めたと非難している。
ブルッキングス研究所によると、温室効果ガス排出基準の緩和、自動車と小型トラックの燃費基準の引き下げ、きれいな空気と水を確保するための規制の緩和、エネルギーと環境に関する規制緩和は計74件だ。
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