台湾の頼清徳副総統は現地時間13日、訪問先の米ニューヨークで講演し、中国共産党に対し台湾を防衛する姿勢を鮮明に打ち出した。米国の軍事援助や西側諸国の支援に感謝の意を表し、独裁政権を前に「主権侵害を決して許さない」と強調した。頼清徳氏は2024年の台湾総統選の候補者でもある。
頼清徳氏は、南米パラグアイの大統領就任式に出席するため、米国に一時的に立ち寄った。パラグアイは台湾と外交関係を維持している13カ国の一つである。頼氏は12日、台湾の桃園空港で記者団に対し「台湾は人権や自由、民主主義を堅持する。国際社会の一員として、インド太平洋の平和と安全に向けて努力していく」と語った。
頼清徳氏、対中共姿勢鮮明に
13日、頼清徳氏は在米台湾人の集会で講演し、中国共産党の威圧に対する姿勢を鮮明にした。
台湾はインド太平洋地域における一員として、民主主義や自由、人権といった普遍的価値観を重んじ、独裁政権の脅威を前に「決して恐れず、持ち場を離れない」と強調した。
数々の軍事援助を行ってきた米国の支援に加え、英国やバルト3国など、民主主義諸国が相次いで台湾を支持していることに言及。日本が昨年末に防衛三文書を改訂し、台湾海峡の重要性を言明したことに触れ、台湾海峡の平和と安定は国際的な関心事になっていると強調した。
コロナ禍において、台湾は感染防止対策に取り組むとともに、積極的に対外援助を行い、「善良なる力」を発揮したと述べた。
頼清徳氏は「中華民国台湾の未来は、台湾人の総意に基づいて決めるべきである」とし、中華民国と中華人民共和国は互いに従属せず、「主権侵害を決して許さない」と表明した。
いっぽう、中国外交部は今回の頼清徳氏の立ち寄りを非難し、「中国は米国と台湾のいかなる公式交流にも断固反対する」との談話を公式サイトに掲載した。談話では、台湾の与党・民進党の総統候補である頼清徳氏を分離独立主義者とみなし、「トラブルメーカー」だと非難した。
米国在台協会(AIT)の台北事務所所長(大使に相当)のオウドカーク氏は、中国共産党の反応は「いつものこと」だと指摘。中共は頼清徳氏の立ち寄りを口実に「いかなる挑発行為を行うこともできない」と述べた。
頼清徳氏の米国訪問と頃合いを同じくして、中共軍は台湾への軍事的圧力を強めている。8月9日、台湾軍は台湾周辺で33機の中国軍機と6隻の艦船を確認した。台湾海事安全局によると、中共軍は8月12日から14日にかけて東シナ海で軍事演習を行う。
台湾側は「決して後退することはなく、降伏することもない」と断固とした立場を示した。
現政権支持層や親中共、新移民が集合
いっぽう、頼清徳氏の訪問を受けて、ニューヨークでは華人グループがホテル周辺に集合し各々の主張を叫んだ。現地取材記者によれば、警察はこれらを台湾人、親中共、反中共といった3つのグループを確認した。
頼清徳氏が入るホテルの前では台湾人団体が歓迎した。いっぽう、道路の向かって左側の歩道では100人程度の中国本土系住民が五星紅旗などを振り回し、「台湾独立に死を」といったシュプレヒコールを叫んだ。その反対側の歩道上には、最近中国本土からの移民である若者らが集まり、「中共の侵攻に反対する」などと声を張り上げた。
台湾人コミュニティの会長を務めるナタリー・頼さんはエポックタイムズの取材に対し、民主主義と人権を重んじる台湾が、独裁体制にある中国と統一する必要性はないと述べた。「ここで叫んでいる彼ら(親中派)自身、中国に帰りたいとは思っていない」「当局の(不作為により多数の死者が出た)洪水救援を思い出してほしい。このような政府の支配を受けたいと思うのだろうか」と不信感をあらわにした。
頼氏は13日にもニューヨークを発ちパラグアイを訪問。復路の16~17日には米サンフランシスコに滞在する予定だ。
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