習近平政権の軍隊は災害を救助せず積極的に戦争準備(1)

2023/08/18
更新: 2023/11/14

 中国では、習近平国家主席の指導のもと、軍は戦争準備のために災害救援を行わないという状況が見られる。

習近平氏は文化大革命への回帰を志向しているのではなく、戦争体制への回帰を目指しているのだ。彼は軍と一般市民の接触を恐れており、軍が災害の被害状況を目の当たりにして、軍の士気が不安定になることを懸念している。
 
今年、中国北部での洪水が引いた後、残されたものはゴミや泥だけではなく、多くの疑問も残された。過去には、中国の災害救援は主に軍に依存していたが、今年はその軍の姿を見ることができなかった。なぜなのだろうか。
 
北京近郊で洪水が発生した際、中国の人々は政府の救援活動や軍の出動をほとんど目にすることはなかった。民間の自助活動に頼るしかなかった。そのため、多くの中国人は「軍はどこに行ったのか?」という疑問を抱いている。
 
この疑問に対し、8月6日に中国共産党の『解放軍報』は、「軍は戦争準備のために存在する」というタイトルの記事を掲載した。では、習近平時代の軍はなぜ災害救援に参加しないのだろうか? 本当に戦争の準備のためなのだろうか? それとも、他に理由が存在するのだろうか。

軍隊は災害救助しない、習氏は軍隊が民衆に接触するのを恐れている

中国民主党の海外部門の主席である王軍濤氏は、新唐人テレビの番組「菁英論壇」において、中国共産党(中共)軍が災害救援に参加しない理由について、以下の2つの観点を提供している。
 
1つ目の観点は、中共軍が戦争準備を主要な任務と考え、日常的に市民との共同活動や洪水対策などに関与しないという立場である。

国の予算は戦争準備のために設定されており、軍は現代戦争に備える訓練や実戦経験を積むべきだという考え方である。

2つ目の観点は、習近平氏が権力を保持する上で危機感と恐怖感を持っており、軍を一般市民から隔離し、厳重にコントロールしたいという意向である。

習氏が軍を災害救援に動員すると、軍が現地の状況や市民の感情を直接目にする可能性があり、政権の不安定さを認識するリスクが高まることを懸念しているのだ。
 
さらに、軍が災害救援活動に参加すると、退役軍人との接触の機会が増える。退役軍人が過去、経験した部隊での不公平な待遇や現在の困難な生活状況を現役の軍人に伝える可能性があるため、軍の士気の不安定化を懸念しているのだ。これが、習近平氏が災害救援に軍を動員しない主要な理由と思われる。
 
軍を高度に隔離し、プロパガンダを強化することで、習氏は軍の士気を安定させようとしている。彼は軍に本来の任務を果たさせるのではなく、行動を制限しているのだ。
 
王軍濤氏によれば、中共軍の特徴は、戦闘を前に和平を叫びつつ、戦う意向がない場合に戦闘を主張するということである。
 
今回の災害は主に華北地域で発生しており、その中でも華北が最も被害を受けている。だが、華北の軍は行動しておらず、少数の部隊が首都防衛の動きを示しているのみである。それは洪水の被災者が北京に流入しないようにするという目的からだ。

(続く)