プールや海に入る機会が増える夏は、悲惨な水難事故が後を絶ちません。こうした「水の事故」から子供を守るため、正しい知識を身につけることが保護者に求められています。
米カリフォルニア大学デービス校メディカルセンターの傷害予防スペシャリストであるジェニファー・ルービン氏によれば、子供から目を離さないことが一番重要だといいます。「5歳未満の子供は、水中で手の届く範囲に大人がいることが重要です」
「防げた死」の中でも、溺死は依然として5歳以下の子供の死因の第一位です。また、溺死者の5人に1人以上が14歳以下の子供だという統計もあります。
ここでは同大学メディカルセンターが推奨する、子供たちを悲劇から守るための方法を紹介します。
溺死を防ぐための7つの方法
1. プールだけでなく、家の中でも幼児から目を離さないこと。1歳未満の子供は浴槽やバケツで溺れる可能性もあります。厚生労働省「人口動態調査」によると、日本の0~1歳の幼児の浴槽での溺死が最も多く発生しています。
2. 浮き輪や両脇浮袋、発泡スチロールのおもちゃをライフジャケットの代わりに使用しないこと。これらは、水難事故を防ぐために設計されていません。
3. 子供たちは、川や湖、海などでは必ずライフジャケットを着用すること。大人も常にライフジャケットを着用することで、良い手本を示すべきです。
「どんなに泳ぎが得意な人でも、川ではライフジャケットの着用が必要」とルービン氏は言います。
4. 水深や水底の凹凸、水の流れ、引き波などの状況に注意すること。
5. 離岸流から逃れる方法を知っておく。離岸流とは、海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする時に発生する海水の流れで、泳いでいる人を短時間で海へと引きずり込みます。米国のビーチのライフガードが行う救助活動の80%以上は離岸流が占めています。
離岸流に巻き込まれた場合は、あわてず落ち着き、岸と平行に泳ぐ(岸に向かって泳がない)ことが重要です。また、泳ぎが得意でない方は、無理に泳ごうとせず浮くことに専念してください。
6. 岩や橋から川に飛び込むことの危険性を子供に伝えてください。
7. 乳児、小児、成人の心肺蘇生法の習得を推奨します。
日本の各消防本部・消防署では、一般向けの救命講習を実施しています。また、消防庁は、e-ラーニングで応急手当の基本知識が学べる「一般市民向け 応急手当WEB講習」を開催しています。万が一の緊急事態に備えて、知識と技術を身につけておきましょう。
(翻訳編集・ 徳山忠之助)
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