相次ぐ中国大手不動産会社のデフォルト危機。それは、かつて「鉄飯碗(割れないメシ碗)」と呼ばれ、給与の支給が比較的安定していた国有企業の存続にも影響を与え始めている。
国有企業であれ、民間企業であれ、中国は今「従業員に給与が支給できない」という、とんでもない経済危機に陥っている。
「3カ月間、勤務停止」を告げる国営企業
ここでいう国有企業とは、文字通り「国または政府が所有する企業」である。国営企業は、国有企業のなかの一形態で「国が経営権をもつ企業」を指す。なお、今の中国においては「国有企業」という言葉で、両者を総称することが多い。
中国メディアによると、国営企業である上海の建築設計院は、今年6月29日より「全従業員は3カ月間勤務を停止する。勤務再開については未定」と通知した。勤務停止の実際的な理由は、従業員の給料を払えないから、とされている。
経済学者で政治評論家の李恒青氏は「中国の不動産バブルが崩壊すれば、その影響を受けない企業は1つもない。国営企業で職員の給料に当てるお金がなくなったのは、まだ第一段階に過ぎない。次は倒産だ」と指摘する。
「土下座」で賃金を求める従業員
かつて人気を博した中国の電子機器メーカー「歩歩高(ブーブーガオ)」は先月、会社再編の申請を開始した。今月19日、この「歩歩高」の従業員が未払い賃金の支給を求めて、会社の門前で「土下座」する動画がSNSで拡散されている。
米サウスカロライナ大学の謝田教授は、次のように指摘する。
「中国において、未払いの賃金を求めて労働者が抗議したり、ストライキしたりすることが非常に深刻な社会問題になっている。本当に悲しいことだ。中国社会はバランスを失ってしまった。もはや正常に機能していないのだ。これはまさに、社会全体で大規模な動乱、あるいは暴動が起こる前兆である」
中国の経済誌「財新週刊」によると、地方債務が膨らむ中、中国の西南部の省では「公務員を約2割、人員削減する危機に直面している」と報じた。
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