コロナ治療でのイベルメクチン使用を巡る訴訟、「FDAは権限逸脱」との判決下る

2023/09/04
更新: 2023/09/05

1日、ニューオーリンズの連邦控訴裁判所は、新型コロナの治療にイベルメクチン適応外使用した3人の医師の訴訟について、米国食品医薬品局(FDA)は権限を逸脱したとの判決を下した。

訴訟は昨年6月に起こされた。原告のポール・マリック医師、メアリー・ボウデン医師、ロバート・アプター医師は、イベルメクチンを患者に処方しようとしたことを理由に解雇されるなど、FDAの声明によって職業上の損害を被ったと主張している。

原告の一人で、「健康自由連合(Coalition of Health Freedom)」の創設者であるボウデン氏は、今回の判決は真実の勝利であり、患者の権利の勝利であると称賛した。同氏はエポックタイムズに対し、次のように語った。

「FDAは一般市民を欺き、自分たちに実際以上の権限があるかのように思わせた。この判決は、FDAが医者ではないこと、そしてFDAにはどのように医療を提供するかを医師に指示する権限がないことを確認した」

ドン・ウィレット判事は次のように示した。

「FDAは医師ではない。FDAには情報を提供、発表、通知する権限があるが、支持、非難、または助言する権限はない。FDAの投稿が通達と命令の境界で間違った方に行き当たったと医師らが主張するのももっともだ」

さらに、FDA職員が反イベルメクチンと取れる声明を発信したことについて、ウィレット判事は怒りを込めて次のように述べた。

「イベルメクチンには人用もあるが、ほとんどの声明では言及されなかった。人用のイベルメクチンはコロナの治療薬としてFDAの承認を受けていないが、その目的で適応外使用する者もいた」

FDAは2021年8月21日に、X(旧Twitter)に「あなたは馬ではなければ、牛でもない。みんな、冗談抜きでやめろ」と投稿し、注目を浴びた。

ウィレット判事は、このソーシャルメディアへの投稿を引き合いに出し、「ツイート規模の個人向け医療アドバイスだったとしても、FDAの法定権限を超えている」と指摘した。

米国国立衛生研究所(NIH)のコロナ治療ガイドラインは、有効性を裏付けるエビデンスが不足しているとして、コロナ治療にイベルメクチンを使用しないよう推奨しているが、この医薬品の有効性を示す研究は多くある。

原告の医師らは3人とも、FDAのキャンペーンによって評判が傷つけられたと主張している。ボウデン氏はテキサス州の病院での入院特権(admitting privileges)を失い、マリク氏は医学部と病院での職を失った。

今回の判決はFDAにとって痛手となった。FDAは、不服申し立ては同機関の「免責特権」には打ち勝てないとして、本件訴訟を前に進めるべきではないと主張していた。

エポックタイムズはFDAにコメントを求めたが、記事作成時点で返答はなかった。

目下、全米の薬剤師がイベルメクチンの処方を拒否していることは大きな問題となっている。医師の裁量権や、最終的に誰が患者の治療を管理するのかといったことを巡り、疑問が浮上している。

イベルメクチンは数十年前から流通している医薬品だが、新型コロナ治療薬としての有効性をめぐる医学的見解の相違により、2020年以降は論争の的となり、多くの薬剤師が処方を拒否するようになった。

そんななか先月、FDAの弁護士が、コロナ治療にイベルメクチンを処方するのは医師の自由だと認める発言をした。
 

先月8日、第5巡回区控訴裁判所で行われた口頭弁論で、FDAの代理人を務める司法省の弁護士アシュリー・チャン・ホノルド氏が、「医師にはコロナ治療にイベルメクチンを処方する権限があると、FDAは明確に認める」 と述べた。

しかし、FDAが承認したにもかかわらず、薬剤師がイベルメクチンの処方を拒否する慣行は続いていると、ボウデン氏は主張している。

同氏はエポックタイムズに対し次のように述べている。

「こんなことは終わらせなければならない。これでは、免許なしで医療を実践する薬剤師が大規模に存在していて、彼らが患者に入手できる薬とできない薬を伝えているようなものだ」

「彼らには結果に対する責任はないのに、患者に治療を指示することが許されている。日々これを目にしている。もう十分だ」

米国のジャーナリスト。著書に『Newtown: An American Tragedy 』『Breakthrough: How One Teen Innovator Is Changing the World 』『The Drudge Revolution』など。自身の家族の物語が主題となったドラマシリース『レポーター・ガール』が、2020年にApple TV+オリジナル作品として全世界に配信された。
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