米下院エネルギー・商業委員会の共和党議員団は1日、米自動車大手フォード・モーターが中国の寧徳時代新能源科技(CATL)と提携して米国に電池製造工場を建設する計画は、国家安全保障上のリスクをもたらす可能性があるとして、両社が交わした契約書の写しを共有するようフォードに求めた。
キャシー・ロジャーズ委員長をはじめとする26人の共和党議員は、フォードのジェームズ・ファーリー最高経営責任者(CEO)宛に書簡を送った。
議員らは両社の取引は「中国による米国の電気自動車サプライチェーンの支配を助長し、中国依存をさらに強めることになる」と指摘。「そうなれば、米国は深刻な国家安全保障上のリスクに晒される」と強調した。
フォードは2月、ミシガン州マーシャル市に35億ドル(約5127億円)を投じて電気自動車(EV)用のリン酸鉄リチウムイオン電池製造工場を建設する計画を発表した。2026年に生産を開始する見通しで、世界大手電池メーカーのCATLが技術支援を提供する。
一方、フォードの広報担当者はエポックタイムズの取材で「このプロジェクトは、2500人の新たな雇用を創出し、米製造業の強化に貢献する」と懸念を一蹴した。
フォードの電池製造工場について、当初バージニア州も候補地として挙がっていたが、同州のヤンキン知事が国家安全保障の懸念を理由に却下した経緯がある。
電池製造工場について、ヤンキン氏の広報担当者は「中国共産党の隠れ蓑として機能し、バージニア州の経済安全保障と市民のプライバシーを危険にさらす恐れがある」と語っていた。
CATLと中国共産党との関係
CATLは、フォードやテスラなどの自動車メーカーに電池を供給する世界最大の電気自動車用電池メーカーの1つ。2011年創業からわずか6年で車載電池世界トップに上り詰めた。
しかし、CATLの台頭には、中国政府の補助金制度が大きく関わっている。官製紙「時代周報」の2018年7月の報道によると、中国政府は2015年に590億元(約1兆1900億円)、2016年に830億元(約1兆6700億円)の補助金を提供した。
また、同社の曾毓群(Robin Zeng)会長は、中国政治諮問機関である中国人民政治協商会議(CPPCC)のメンバーでもある。
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