中国の医療従事者の給与が半分カット 目的は国内矛盾の転嫁

2023/09/11
更新: 2023/09/11

中国で医薬品や医療機器のメーカーに対する反腐敗運動が行われている中、多くの病院の医療従事者が給与カットを受けている。

時事評論家たちは、医療従事者の給与カットは矛盾を逸らし、大衆の誤解を引き起こすものであり、市民に怒りを発散する手段として利用されていると考えている。

 9月1日、北京同仁医院の医師はウェイボー(微博)で不満を投稿した。「なぜ腐敗撲滅の結果が、医療従事者の給与が半分にされることなのか? 1か月間、数え切れないほどの夜勤をこなして……夜勤手当は一晩45元(約900円)だけ? ……もういい。私たちが受け取るはずだった給与は一体誰が取ったのか」

多くの同仁医院の医療従事者が中国本土のSNSで声を上げている。しかし、ほとんどの投稿は当局によってブロックされた。上述した投稿も、微博から削除された。

9月4日、中国メディア「経済観察網」は「北京同仁医院の医師の業績収入が半分に」と題した記事を報道した。現在、その記事は削除されている。

9月3日、複数の医師は「経済観察網」に、同仁医院の業績ボーナスと夜勤手当が半減したことを明かした。

エポックタイムズは9月5日に同仁病院の李医師と連絡を取った。同氏は記者に「給与がカットされたのは事実だ。みんなが不平不満を言っている。私たちの給料はもうとても少ない」と語った。

記者が給与カットの具体的な状況を何度も尋ねたが、医師はそれ以上詳しく話さなかった。

各地の病院で給与カットの波

医師向けの総合プラットフォームである上海メス医学(MedSci)は、6月12日の記事で、医療従事者の給与が前年の総収入と比較して、約15%~35%カットされることを明らかにした。

基本給はわずかに減少したが、実績手当給与は大幅にカットされ、70%以上も減少したこともあったという。

記事によれば、「今年初以降、あなたの給与はカットされたか」という調査に、3千499人の医師が参加した。そのうち2千275人の医師が「給与がカットされた」と答え、686人は「カットされず、前と同じ」と答え、222人は「カットされず、むしろ給与が上がった」と答えた。316人の医師は明確に回答していなかった。

この調査から、今年初以降、65%以上の医師が給与がカットされたことがわかる。そして、カットされた給与は実績手当だけでなく、基本給もカットされている。

矛先は一般の医療従事者

今年、中国当局は医薬業界への取り締まりを強化している。中国紙の「南方都市報」の統計によると、8月14日までに、今年約179人の病院の主要な責任者が調査されている。この数字は昨年の2倍を上回っている。

時事評論家の唐靖遠氏は、9月6日のインタビューで、中国共産党(中共)が医療業界の腐敗を取り締まる動機は、医療業界の腐敗を根絶することを目指しているわけではないと述た。

同氏の見解では、経済状況が良くないために中共は財政的に困難を経験しており、このような「反腐敗」キャンペーンを通じて、一般大衆の注目を他の問題に向けることを意図している。

「中共は意図的に一般大衆を誤認させ、診療を受けるのが難しいということは、医師が腐敗しており、製薬会社から違法なリベ ートを受け取っているためであると人々に信じさせている」

「汚職問題は存在しているが、それは真の腐敗に比べると、取るに足らないものだ。真に腐敗しているのは中共の幹部たちである。彼らは自分の特権を利用し、80%の医療資源を占めている」

唐氏によると、医療腐敗の根本的な原因は、医療を産業化してしまったことにある。中共は病院に自己収支のバランスを取らせるだけでなく、大きな税収源としている。

「現在、中共が医療界での反腐敗を大々的に進めているが、私たちが見ているのは、当局が病院の院長や主任などの主要な腐敗した人物を逮捕するほか、一般の医療従事者にも矛先を向けている」

「中共は大幅な給与カットを民衆の不満を晴らす手段にしている。実際には、民衆を互いに争わせて、国内の不満の矛先をそらす手法だ」

基層の医療スタッフが搾取されると「医療の質が大きく低下することになる。つまり、最終的に被害を蒙るのは大勢の患者だ。一般市民が被害を受ける。実際に利益を得ているのは中共の特権階級である」と唐氏は指摘した。

寧芯
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