【中山泰秀元防衛副大臣】防衛費GDP比4%のイスラエル 日本が見習うべき「心構え」とは

2023/09/17
更新: 2023/09/14

日本と同様、敵対的な国々に囲まれた小国・イスラエル。中東で生き抜くため、防衛費の対GDP比率は驚異の4%だ。教育と科学研究にも力を入れており、プチトマトからUSBに至る様々な生活必需品を開発してきた。いっぽう、イスラエルをよく知る中山泰秀元防衛副大臣は、イスラエル人の想いこそ国防の要だと語った。

——中朝露の脅威はミサイルに限らず、サイバー防衛も喫緊の課題だ。現在の自衛隊のサイバー戦力は十分か。

日本の防衛予算約5兆3000億円のうち、約50%を防衛省・自衛隊の人件費が占めており、装備品の調達等で使える予算は残りの50%から捻出することとなる。他国と比較すると、世界第12位の軍事力を持つ韓国と同程度の予算規模だ。

ある国の防衛予算の規模について考える際、対GDP比で何%かということがよく議論される。日本の防衛予算は現在対GDP比1%で、5年後までに2%に増加する。そうなれば、サイバー防衛についても相当充実させることができると思う。

イスラエルの防衛費は対GDP比で驚異の4%に達する。写真はリモート取材に応じる中山泰秀元防衛副大臣(Wenliang Wang/大紀元)

中東の国・イスラエルの防衛予算は対GDP比で約4%に達し、教育・研究予算はGDPの約7%を占めている。軍事力を強めると同時に、未来を担う子供たちの教育や先端技術の投資に莫大な予算を計上している。

イスラエルでは男女問わず、障害者も含めて兵役が義務付けられている。このようなパッケージ型の安全保障戦略によって民間と軍の技術交流が進み、イノベーションが起きやすい土壌が形成されている。

優秀な技術を開発し、優秀な技術者を育成する。イスラエルのようなスキームを目指すことが、本当の意味での安全保障、そして国民一人ひとりの心構えへとつながっていくと思う。

どれだけお金を持っていても、どれだけいい技術を持っていても、そこに暮らす人々が自国を守ろうとする意志を持たなければ意味がない。国民の心や考え方がしっかりしていなかったら、他国に支配される可能性がある。したがって、国防に対する国民の考え方やモチベーションを育て上げていくことは非常に重要だ。

——イスラエルは砂漠地域にも関わらず高い食料自給率を誇っている。

イスラエルは国土の60%が砂漠地帯であるにも関わらず、食料自給率が93%もある。フードテック、アグリテックをはじめとした高効率な生産体制があり、農業技術の開発も非常に進んでいる。

先ほどイスラエルがGDPの約7%を教育・研究予算に当てていると話したが、しっかりと成果を出している。例えば皆さんが食べるサラダに入っているチェリートマトは、イスラエルが開発した商品だ。

電子部品で言えば、パソコンのUSBのジャックもイスラエルが開発したものだ。メモリースティック、それからSNSまでも。また、ドローンという名前がだいぶ馴染みのある名詞になっているが、ドローンは1960年代にイスラエルが開発した知的財産だ。

イノベーションによって生まれたものがこうして世界的に応用されていく。我々は知らないうちに技術を共有をしてもらい、その成果は日々の生活の中に溶け込んでいる。

——イスラエルのベニー・ガンツ国防大臣(当時)より受章された経験もある。

ガンツ元国防相がわざわざ来日し、勲章をいただくという栄誉に預かった。イスラエルからこのような賞をもらえるというのは決して容易なことではなく、名誉だと感じている。

私の父は日本・イスラエル友好議員連盟を立ち上げ、両国間の交流や情報交換に尽力してきた。イスラエルと連携・協力することは、すなわちイスラエルを民主主義国の輪の中に引き入れることでもあり、非常に重要だ。

(了)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。