一体どこまで続くのか、と呆れるほどだが、中国では米電気自動車(EV)の大手テスラの車に対する各種の「締め出し」が後を絶たない。
中国当局によるテスラ車への規制は、これまでに「高速道路への乗り入れ禁止」「空港敷地への入場禁止」「駐車スペースへの駐車禁止」「公共充電スタンドの使用禁止」などがある。
テスラ車に対する中国側の規制は「セキュリティ上の理由」とも言われるが、その真偽は明らかでない。そもそも中国での販売を許可しておきながら、このようながんじがらめの規制とは、ほとんど排斥にちかい扱いである。それに加えて最近では「習主席が視察する地域への、テスラ車乗り入れ禁止」が徹底されている模様だ。
国際放送「希望の声(soundofhope.org)」は20日、習近平国家主席が浙江省義烏市を視察する様子を捉えた映像を公開した。現地市民は、この「習主席ご一行」が通る道路はすべて閉鎖され、付近一帯へのテスラ車の乗り入れも禁じられた、と明かしている。
習氏が訪問する先々には、もちろん当局によって決められた「役者」が配置されている。本当の現地市民は、遠くからその様子をこっそり携帯カメラに収めるだけだ。下の動画も、その一つである。
昨年6月にも、同じく習主席が視察した影響により、テスラ車は四川省成都市の市内乗り入れを禁じられている。
中国経済が全般的に不況のなかで、巨大卸売市場の街として有名な浙江省義烏市は、数少ない「明るい話題」の発信地になっている。とくに日用品の卸売りでは世界的に知られており、日本の100円ショップの商品のうち中国産製品の多くが義烏市の市場を通過している。
中国官製メディアによると、今年1月~7月までの同市の輸出総額は3211億元に達し、前年同期比19.7%増になったという。こうした背景が、習氏の同市への訪問理由ではないかと見られている。
中国国内の情報を発信する、著名なツイッターアカウント「李老师不是你老师(李先生はあなたの先生ではない)」は20日、交通警察に、進入禁止のため(テスラ車が)引き返しを命じられた様子を捉えた動画を投稿した。
投稿者は「習主席が義烏市の卸売市場『義烏国際商貿城』を視察した影響で、周辺の一帯はテスラ車の進入を禁じた」と説明している。
(9月20日、浙江省義烏市内への乗り入れを禁じられたテスラ車)
各地で相次ぐ「テスラ締め出し」
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