中国臓器狩りに韓国が「加担」していた…NGOが懸念表明

2023/09/22
更新: 2023/09/22

国際NGOは、中国共産党(中共)による臓器狩りへの韓国政府の関与について懸念を表明する報告書を国連人権委員会に提出した。韓国は日中3か国で臓器提供枠組の作成を模索している。NGOは「中共の極悪非道な行為」を阻止するためにも、同国との全ての「移植臓器共有ネットワーク」を中止するよう訴えた。

韓国臓器移植倫理協会(KAEOT)と強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)は13日付の報告書で次のように述べた。

「中国への移植ツーリズムの主要な消費国として知られる韓国は、強制的に臓器を摘出する臓器狩りを取り巻く状況を認識しているにもかかわらず、この慣行を監視し、阻止するための十分な措置を講じていない」

報告書によると、韓国第2の都市である釜山の地方自治体が、中国との「臓器共有ネットワーク」を積極的に推進していることから、状況はエスカレートしている。

NGOは報告書の中で、▽中国との全ての「移植臓器共有ネットワーク」を中止するほか、▽他国政府が法輪功学習者とその他の良心の囚人に対する臓器狩りを直ちに停止するよう中国に求めること、▽中国における移植ツーリズム産業と強制臓器狩りを調査するよう国連人権委員会に呼びかけた。

KAEOTのKim Hwangho所長は、この報告書は韓国政府に影響を与えるだけでなく、数十億ドル規模のビジネスに成長した中国の臓器狩りに対処する助けになると指摘。

同氏はエポックタイムズに寄せた声明の中で「中国における強制臓器狩りへの加担を人権委員会に監視させるためのNGO間の協力は、この極悪非道な行為に対抗する一助となる」と強調した。

人道に対する犯罪

中国の臓器移植産業は、2000年代初頭から著しい成長を遂げている。中国の病院には、わずか数日で適合する臓器を提供した記録もあり、自発的なシステムに頼っているどの国よりも臓器移植手術を待つ時間が短い。

同団体の報告書は、韓国のケーブルテレビ局『朝鮮放送』の2017年の番組を引用し、韓国人患者が移植のために中国の病院に集まる実態にも言及した。

同ネットワークの『調査報道セブン』のチームは腎臓病患者の親族を装い、中国沿岸部の天津の病院で移植手術について問う一部始終を隠しカメラに収めた。病院のスタッフは適合する臓器の通常の待ち時間は7日から50日であるとした上で、1万ドルを追加で支払えば、2日で腎臓を手に入れることができると発言した。

チームは、その病院で移植手術を受けた韓国人患者にもインタビューした。ある女性は、自発的なシステムが整っている国では異例の速さと言える8週間で移植手術を受けることができたと語った。彼女の息子によれば、調達された約2時間後に臓器が病院に到着したという。

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ここ数十年、中国における臓器の待ち時間の短さは、海外から何千人もの患者を惹きつけてきた。「アメリカ移植ジャーナル」に掲載された2016年の報告書によると、中国は海外渡航移植の一番の受け入れ国であり、韓国は2番目に多い「出発国」だった。

研究者らは、2000年から2015年までに発表された論文をレビューし、1971年から2013年までに臓器を求めて外国に渡航した6002人の患者を特定した。そのうちの45%近く(2700人)が、救命手術を求めて中国に渡ったことも明らかになった。

注目すべきは、2015年まで中国には公式の臓器提供・分配システムがなかったことだ。一般的に、中国人は伝統的な価値観から自分の臓器を提供することに消極的である。

中国国営メディアによれば、2003年の時点で、中国の臓器提供数はゼロにとどまっていた。2005年に中国高官は移植用の臓器のほとんどは死刑囚から提供されたものであることを認めている。

しかし、死刑囚の処刑数だけでは、国内で行われた移植手術の件数の多さを説明することはできない。

2019年、英国で開かれた独立法廷「中国民衆法廷」は、中国政権は長年にわたり、相当な規模で良心の囚人から生きたまま臓器を摘出する臓器狩りを行ってきたと結論づけた。主な犠牲者は、不当に投獄された法輪功学習者であるとも指摘した。

法輪功は中国古来の精神修養法で1990年代に人気を博した。しかし、これを脅威とみなした当時の江沢民国家主席が、1999年7月20日に大規模な弾圧政策を実施して以来、多くの学習者が不当に投獄、拷問され命を落としている。

消極的な加担

今年、中国当局は巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて「臓器提供・移植協力」を強化するよう改めて呼びかけ、日本や台湾、韓国の人権団体から批判を浴びた。

KAEOTとDAFOHの報告書によれば、釜山の地方自治体が物議を醸すこの計画の推進に関与している。

釜山当局は2022年、「第1回韓中日アジア臓器提供国際シンポジウム」を開き、シンポジウムでは日中韓で効率的な臓器提供の協力対策について意見が交わされた。

この協力対策の仕組みは、日中韓の枠組みで移植希望者の生体情報を管理し、ドナーが現れ次第、ジェット機などの空輸を通じて臓器を輸送するというものだ。

良心の囚人の命を奪ってきた中国との移植臓器供給ネットワークには、前出のNGOや識者から「共謀者になる」との批判の声があがる。

KAEOTとDAFOHは「こうした動きは、中国の強制臓器摘出を不本意に支援し、韓国人を凶悪犯罪に加担させる危険にさらすリスクがある」と指摘した。

米ニューヨークの国際弁護士である朱婉琪氏は、以前のエポックタイムズの取材で、中国が関わるドナー共有は「人道的な協力ではなく、盗まれた臓器(に関する罪を)ホワイトウォッシュしようとしているのではないか」と推察した。

2022年11月18日、DAFOHの事務局長、トーステン・トレイ博士 (Jack Wang/The Epoch Times)

DAFOHの事務局長、トーステン・トレイ博士も中国との臓器供給ネットワークは「自由世界の国々が中国の臓器狩りに加担している」ことを示していると指摘。「進んでそれを支援するのではなく、受動的にそれを許している」とエポックタイムズに語った。

もし各国が現行法を遵守することができれば、「受動的な加担」から抜け出すことができる、とトレイ博士は言う。

「それは自らの選択次第で避けることができる。中国共産党の人道に対する罪との関係を断ち切るには、今からでも遅くない。しかし、もしその選択がなされないのであれば、共犯関係はますます強まるだろう」

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。