反差別運動ブラック・ライブズ・マター(BLM)の抗議デモの後、世間体や訴訟への懸念から警察が「積極的でなく」なったため、米国で殺人が急増したことが最近の研究で明らかになった。
14日付の報告書は、白人警官に射殺された18歳の黒人男性マイケル・ブラウン氏の死後(2014年〜2015年)と、白人警官に首を膝で押さえつけられたことで死亡したジョージ・フロイド氏の死後(2020年〜2021年)に勃発したBLM抗議デモの2つの大きな波を分析した。
その結果、「BLM抗議活動が、警察署が一般市民との交流することを遠ざけ、ボディカメラを手に入れるきっかけとなり、犯罪の増加と警察による殺人の減少につながったことを示唆している」と研究著者のトラヴィス・キャンベル氏は指摘した。
米国ではこの5年間で身体装着カメラを導入した警察署の割合が14%ポイント増加しており、「証拠の質の向上や捜査機関の責任の軽減に焦点を当てるのではなく、武力行使の削減や地域社会の認知度の向上といった目的が報告されている」と報告書は分析した。
警察活動の減少
警察による殺人事件が減少する一方で、殺人事件は急増した。調査の5年間で、報告された殺人件数は約11.5%増加し、これは3千件以上の殺人が増えたことになると、報告書は指摘している。
さらに、窃盗事件の検挙率は約12%減少し、窃盗事件の解決率(法執行機関によって解決された事件の数)は8%の「急激な減少」を記録した。
「これらの統計は憂慮すべきものであるだけでなく、警察活動の大幅な減少を示す有力な証拠でもある」とキャンベル氏は書いている。
また報告書はBLMの抗議活動によって警察による殺人に社会的関心が集まった後、警察官が「積極的でなくなった」と指摘する調査結果が増えてきると強調。警察は、批判や訴訟を恐れて、公共の安全を確保するための法の執行やその他の実務から手を引き始め、士気は著しく低下したと述べた。
報告書には、「刑事司法制度への嫌悪感が高まり、警察との協力意欲が低下するにつれて、一部の人々が紛争を解決するために暴力に訴えることがあり、これが一部の抗議活動後に殺人事件が増加した一因の可能性がある」と記載されている。
警察の資金不足
この調査では、フロイド氏の死をきっかけとしたBLMの抗議活動が、警察に対する好感度の低下と、国内の「リベラル地域」における警察改革への支持の増加をもたらしたことも明らかになった。
「(BLMの抗議活動後)警察の士気は低下し、警察官の自主退職が279%増加した」いう。
フロイド氏の死亡に抗議する各地のデモでは、「警察の予算を打ち切れ」という主張が繰り返され、これが警官の士気破壊につながったと語ったとベテラン警察官で法執行トレーナーのデイブ・スミス氏は、エポックタイムズの取材で指摘した。
また、警察官に対する攻撃も増加した。FBIによると、2022年は平均して6日間に1人以上の警察官が殺害され、警察官にとって過去20年間で3番目に危険な年となった。
一方で、こうした抗議デモの参加者による暴力行為が複数確認されたが、FBIはBLMをテロの脅威として分類することはなかった。
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