地方の財政難が生んだ珍景 「通行料」を取るホコ天が出現=中国 江西

2023/10/01
更新: 2023/09/30

中国の地方財政が、深刻な危機に陥っている。各地の地方政府は「とにかく収入を得よう」とありったけの知恵を絞っているが、もはやその手段も選ばなくなっているようだ。

9月23日、江西省撫州市にある「歩行者天国(歩行街)」の道路が封鎖された。今後は「通行人に対し、通行料を徴収する」という。要するに「道路を歩くと、通行料が取られる」というのだ。その様子を示す動画がSNSに流れ、物議を醸している。

動画のなかで、ある高齢男性は「感染が拡大しているわけでもないし、交通事故が起きたわけでもない。それなのに、なぜ道を封鎖するのか。通行に、なぜ金を払わなければならないのか」と怒りを露わにしていた。

これに関連する動画をめぐって「(地方政府は)どれだけお金に困っているのか?」として、呆れながらの批判が殺到した。

こうした世論の批判をうけ、歩行者天国の所在地である政府の出先機関「街道弁事処」は、すぐに反応した。「うちは関係ない。そこは撫州市文旅投資公司(国営企業)が管理している」と主張し、こっちを批判しないでくれと責任回避に大わらわだ。

実際に通行料の徴収を行ったとされる「撫州市文旅投資公司」は、後になって「歩行者天国のある景勝地は、大規模な文化イベントが行われていた。そのため入場チケットの購入が必要だ」と主張し、市民から「道路を封鎖して不当に料金を徴収した」と批判されたことには誤解がある、と釈明した。

しかし、この取って付けたような説明に対して、多くの市民が「納得できない」としている。

いずれにしても「歩くと有料」のホコ天の出現は、逼迫する地方財政の一端が見えるような中国の「珍景」となった。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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