大型連休に突入した中国 渋滞の高速道路で「麻雀する人」まで

2023/10/02
更新: 2023/10/02

中国では、9月29日の「中秋節」と10月1日の「建国記念日」をまたぐスーパー・ゴールデンウイーク(9月29日~10月6日)に入った。

中国国内では連休中、旅行や帰省などでの「民族大移動」が行われ、全国範囲で高速道路が渋滞している。「高速道路」「渋滞」などのトピックスがSNSのホットリサーチ入りし、「混んでる!」との悲鳴がネットに充満している。

高速道路に広げた「麻雀卓」

それでも、ゼロコロナ(清零)政策で家に閉じ込められてきた「悪夢の3年間」よりはマシということだろうか、経済低迷の苦しみの中にあっても「楽しさ」を見つけ出そうとする前向きな姿勢の市民もいるようだ。

そんな「楽しさ」の一つであるのか、連休初日の9月29日、安徽省合肥市から投稿された動画のなかに、こんな風景があった。

渋滞する高速道路の路上、つまり車と車の間に座り込んだ4人組がなんと、携帯用の雀卓を敷いて「麻雀」をやり始めた。周囲には見物人もいるが、さすがに背後から牌(パイ)を盗み見をして向かいの対戦者に教える「スパイ」はいない。昨今のスパイ防止法とは、おそらく関係はないだろうが。

 

渋滞する高速道路の路上で「マージャン」をやる人たち。連休初日の9月29日、安徽省合肥市からのSNS投稿。

 

このような「予想できる渋滞」を避けようとして、真夜中に出発する人も少なくない。しかし、いざ行ってみると「皆が同じことを考えていた」らしく、結局、渋滞にはまってしまったケースも多い。

「頭の良い人たちは、早めに高速道路に乗る。しかしその結果、渋滞に巻き込まれたのは全員、頭の良い人たちばかりだった」という投稿に対しては、「頭の良い人は、10月1日に出発するよ」「いやいや、本当に頭の良い人は、自宅のベッドに寝転がり、高速道路で立ち往生する車を薯片(ポテトチップス)を食べながら見ている人さ」など、なかなか納得のいくコメントが寄せられている。

今年は国際的な原油価格が26%も大幅下落したのに、中国国内の原油価格は20%増加している。そんなこともあり「かさむガソリン代に泣く市民」も少なくない。

ならば自家用車ではなく、公共交通の長距離バスを利用すれば良い、ということでもないようだ。

「本来は5時間の道のりが26時間もかかった」「12時間かけて110キロ進んだが、まだ広州を出ていない」などは、自家用車であるか長距離バスであるかに関係なく、渋滞に巻き込まれたら同じ、ということだろう。

そんななか「帰省のため用意した親戚へのお菓子は、結局、バスの車内で食べてしまった」といった、笑えない悲鳴がSNSに多く投稿されている。

中国人が「行きたい場所」

大手旅行プラットフォームの統計によると、今年の長期休暇中に中国で最も人気のある都市は北京、重慶、成都、上海、広州、武漢、西安、長沙、鄭州、南京である。

また、人気の高い観光地は、上海ディズニーランド、北京市のサファリパーク、西安市の秦始皇帝陵博物院、ユニバーサル北京リゾート、黄山風景区(世界文化と自然遺産)、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地。そして、中国人なら一生に一度は訪れたい「万里の長城(八達嶺長城)」だ。

今年の連休では、中国から海外旅行に行く予約数も20%増加した。今年の中国人の海外旅行先の人気トップ3はシンガポール、オーストラリア、タイとなっている。

今年の連休は、まだ平常にちかい感覚で旅行を楽しめるのかもしれない。

ただし、来年の同時期に、それが可能であるか。経済が実質的に破綻した中国で今後、路上のマージャンではない「本当の楽しい旅行」を味わえる余裕があるかどうか、今はまだ分からない。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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