【深掘り】恒大集団会長逮捕 偽装離婚で莫大な資産を移動か? 前妻が焦点に

2023/10/03
更新: 2023/10/03

先日、中国恒大集団許家印会長は、違法犯罪の疑いで中国共産党(中共)当局に逮捕された。これが恒大の巨額な負債危機と企業ガバナンスの問題として注目を集めている。許家印は、米国で破産保護を申請しようと試みたが、結局、これが実現することはなかった。

2023年9月28日、恒大集団の株は、香港証券取引所で全面的に取引停止となった。同時に、許家印氏は法的制裁に直面し、彼と数名の主要な経営幹部、その中に彼の次男、許騰鶴(Peter Xu)氏も含まれ、すでに逮捕されている。何人かの上層幹部の居場所は、現在も不明であり、一連の違法犯罪行為に関与していると見られている。

許家印氏と恒大集団の危機により、その資金の動向に対する注目が高まっている。報告によれば、最大で500億元(約1兆円)の資金が移転され、その具体的なルートも徐々に明らかになってきている。

この中で、許家印氏の前妻である丁玉梅氏も広く関心を集めている。丁玉梅氏は、中国とカナダの二重国籍を有しており、既に香港を脱出している。彼女は以前、恒大の董事会(日本では取締役会にあたる)の事務局長を務め、長期にわたり恒大の負債の再構築を支援していた。

中国は二重国籍を認めていないにも関わらず、丁玉梅氏は、中国の国籍と戸籍を取消していない。現在、外部からは、彼女が恒大の関連債務と法的追求を回避できるかどうかについて、熱く注目されている。

恒大集団のこの危機は、中国の不動産市場のリスクを露呈させただけでなく、中国企業の資金移転と企業ガバナンスの問題も浮き彫りにした。この事件は、世界の金融市場や中国本土及び香港の経済に深い影響を与え、調査が進むにつれて、さらに詳細な情報が明らかになるであろう。

 許家印による「離婚」を通じた資産移動の疑い

許家印氏は2023年に逮捕された。一見、予想外の出来事のように見えるが、実際には、2年前から恒大が困難に陥っていた際に、すでにその危機は露呈していた。報告によれば、許家印氏と前妻の丁玉梅氏は既に準備を整え、離婚手続きを秘密裏に完了していたとのことである。

恒大自動車は今年の8月14日に増資の公告を発表した。その中で丁玉梅氏は会社とは無関係な第三者とされていた。香港の上場企業の称号使用法は非常に厳格であり、この表現は許家印氏と丁玉梅氏がすでに夫婦の関係を終えていたことを示唆し、二人の離婚について多くの憶測を呼んでいる。ある情報によれば、これは許家印氏の資産を丁玉梅氏の名義に移動させるための偽装離婚であるとされている。

インターネット上においては、許家印氏と丁玉梅氏は2022年に離婚したとの噂が流れているが、大紀元の記者の調査によれば、離婚は2023年6月以前に行われた可能性がある。香港証券取引所の記録によれば、2022年12月14日の恒大の株に関する文書では、丁玉梅氏は「許家印の配偶者」と記載され、2022年末までこの称号が保持されていた。しかし、2023年の中間報告において、丁玉梅氏あるいは「許家印の配偶者」の名前は主要な株主のリストから削除されていた。

恒大の公開データによれば、2016~20年まで、恒大グループの年間の配当は合計で939.33億元(約134.2億ドル)に上り、そのうち2020年の配当は61.5%を占めていた。許家印氏と丁玉梅氏は2009年の恒大上場以来、約70%の株式を長期保有しており、受け取った配当は合計で500億元(約71.4億ドル)を超えている。

注目すべき事実として、恒大の高額配当が公衆の注目を集めており、恒大の財務報告が長期にわたり虚偽であったとの指摘がある。その結果、業績が過大評価され、高額な配当が実現していた。あるオブザーバーによれば、恒大グループの939.33億元(約134.2億ドル)の配当の大部分が、許家印夫妻が完全に支配している英領ヴァージン諸島及びケイマン諸島のオフショア会社を通じて、海外に移動され、最終的にこれらの資金が丁玉梅氏の手に渡ったという。

更に、許家印氏が恒大の財産の破産を申告する前に、彼の息子は23億元(約3.3億ドル)の家族信託基金を受け取り、これは許家印氏が息子のために設立した「プラン」と見なされている。

大紀元の記者たちは、恒大および丁玉梅氏からの返答を待ち望んでいる。

許家印、丁玉梅の債務問題と金融戦略について

許家印氏とその前妻である丁玉梅氏の離婚は、債務を回避する道を開くのか。中国本土の「民法」第1064条に基づけば、夫婦間に生じた共同債務について、丁玉梅氏が債務の責任から完全に逃れるのは困難である可能性が高い。これは彼女が許家印氏と既に離婚している場合であっても変わらない。

恒大の財務報告によれば、同社の資産と負債の差額は拡大しており、資産総額は約2629億ドル(約39兆円)負債総額は3486億ドル(約52兆円)に達している。この困難を解消する試みとして、許家印氏は米国での破産保護の申請を試みたが、この行動が中共の関連部門の警戒を引き起こし、9月には恒大に対する調査が開始された。

許家印氏は複雑な金融戦略と操作を通じて、巨額の資金の海外移転を試みていることが明らかにされている。彼は恒大に外貨建ての高利回り企業債を大量に発行させ、これらの企業債は自分の家族及び関係者のみが購入。これにより大量の資金が外貨に変えられ、中共の資本規制を回避し、資金移転が実現された。許家印氏は2018年に個人資金で恒大の海外で発行されたドル建て債を購入し、恒大の大株主から債権者へと変わった。

恒大の海外債務再編案の審査過程で、多くの債権者が許家印と密接な家族関係にあることが示された。これらの債権者が再編案を承認すれば、許家印家族は米国で保護を受け、ある程度、中国国内の債務追及から逃れる可能性がある。しかしながら、中国共産党の権力介入により、恒大の債務再編の会議は成功裏に開催されず、破産保護の申請も実現されなかった。結果として、恒大は最終的に破産清算の道を歩む可能性がある。

恒大の危機は、中国の大企業とその創設者が債務圧力に直面する際の戦略と操作を明らかにした。この危機は、恒大と許家印の問題に留まらず、中国の金融及び法律システムの欠陥も露呈し、全球経済に深刻な影響を与えるであろう。

 

何嘉幸
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