ノーベル賞受賞者が気候変動ナラティブに反論 「質の悪い科学だ」(1)

2023/10/12
更新: 2023/10/12

ノーベル賞受賞者のジョン・クラウザー氏は最近、現在主流の気候モデルに対して異議を唱え、脚光を浴びている。彼は重要な変数を無視していると言っている。

量子力学への貢献により2022年のノーベル物理学賞を受賞したクラウザー氏は、カリフォルニア工科大学とコロンビア大学で学位を取得した。

最近、クラウザー氏は、もう一人のノーベル賞受賞者及び1600人以上の専門家に合流し、気候インテリジェンス(CLINTEL)が主催する世界気候宣言(WCD)に署名した。

WCDは、地球が「気候緊急事態」にはないことを宣言し、長い地球の歴史において常に気候は変化しており、気候変動の科学は決定的なものではないことを強調している。

WCDは、「現在の気候モデルには限界があり、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの影響を強調しすぎている。その一方で、大気中のCO2濃度の高まりが有益であるという事実を無視している」と主張する。

宣言はさらに、自然活動と人間活動の両方が気候変動に寄与しており、観測された実際の温暖化は気候モデルによって予測されたものよりも少なく、気候変動について、我々の理解が不完全なことを明らかにしている。

エポックタイムズの「American Thought Leaders」のインタビューで、クラウザー氏は、「現行の気候研究については質の面で懸念しており、米国の気候政策は間違っている」と主張した。

クラウザー氏によると、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、全米科学アカデミー、王立協会などの著名な気候報告書はCO2の役割を強調しているが、気候システムにおける雲の重要な役割については的外れな見方をしている。

「IPCCなどのレポートを読んで、彼らの仕事がどれほどずさんであったのかに愕然とした。特に、最も初期の報告から現在に至るまで、雲がまったく理解されていなかった。一言で言ってしまえば、彼らの科学は、質の悪い科学だった」

クラウザー氏は、オバマ前大統領の科学顧問であったスティーブ・クーニン氏からの洞察を強調した。

クーニン氏の著書「Unsettled: What Climate Science Tell Us, What It Don’t Not, Why It Matters」の中で、クーニン氏は、IPCCが所有する40のコンピュータモデルの矛盾を指摘、これらのモデルでは、前世紀の気候を説明できないことを強調していた。これらには重要な物理学が欠けているということだ。

「ミッシングピース」

「私は、事実上すべてのコンピュータプログラムで抜け落ちているパズルのピースを見つけたと思った。それが雲の影響だった」とクラウザー氏は語る。

人為的な気候変動に関する多くの理論は、主に人為的なCO2の影響に焦点を当てているが、クラウザー氏は「これらのモデルが、雲のダイナミクスの重要性を見落としている」と主張している。

彼は2003年の全米アカデミーの報告書に言及し「報告書は、雲についての理解不足を 完全に認めており、雲の影響については、一連の誤った記述をしている」と述べた。

アル・ゴアの映画『不都合な真実』に注目し、クラウザー氏は「ゴアは、雲のない地球について話をしている。それは完全に人工的な地球だ」と語った。クラウザー氏によると、この雲一つない地球の描写は、気候科学コミュニティの多くのアプローチを反映したものだ。

クラウザー氏は、「衛星画像には、雲量の大きな変動が常に見られている。地球表面の5%から95%に及ぶ可能性もある」と指摘した。

CO2に対する雲の効果

クラウザー氏はCO2に対する雲の効果について以下のように説明している。

「雲は地球の温度を調節する上で最も重要な役割を果たしており、気候を制御し、地球の温度を制御し、それを強力かつ劇的に安定させる雲・太陽光・反射サーモスタットとして機能している」

「雲が最小限に抑えられると、太陽光に対する海の露出が高まり、蒸発量が増加して雲の形成が促され、雲量が多くなる。逆に、雲が豊富になれば太陽光が遮蔽され、蒸発速度と雲の形成を抑制、雲を少なくする」

「このバランスは、地球温度のための自然サーモスタットのような働きである」

クラウザー氏によれば、このサーモスタット効果は、CO2やメタンよりも、地球の温度に大きな影響を与えるという。

彼はエポックタイムズに、ある計算結果を示し、「この雲の反射メカニズムによる影響によって、CO2の影響が100~200倍以上も希薄化される可能性がある」ことを明らかにした。

また、すべての雲は、高度や種類に関係なく、太陽の方向から見ると明るい白に見える。「それらは通常、入射する太陽光のほぼ90%を反射する」とクラウザー氏は語る。

彼は、5~95%の雲量の間で起きる、このような大きな変動が見過ごされてきたことを不可解に思っている。さらに、雲というものが、気象力学には不可欠であることを強調する。

一方、気候モデルの作成者はこのモデルでは気象予測できないことを認めている。それにもかかわらず、それが黙示録的な気候変動を予言するために使われているのだ。

クラウザー氏は、クーニン氏の本で指摘されている矛盾を指摘した。雲量がわずか5%増加すれば、大気中のCO2を2倍にして得られる温度効果を相殺することができる。

クラウザー氏によると、このような微妙な違いがあるにもかかわらず、IPCCのモデルは、いつも同じアルベドを想定し、広大な雲量の変動を無視しているという。

 (続く)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
エポックタイムズのシニアエディター。EPOCH TVの番組「米国思想リーダー」のパーソナリティーを務める。アカデミア、メディア、国際人権活動など幅広いキャリアを持つ。2009年にエポックタイムズに入社してからは、ウェブサイトの編集長をはじめ、さまざまな役職を歴任。ホロコーストサヴァイバーを追ったドキュメンタリー作品『Finding Manny』 では、プロデューサーとしての受賞歴もある。
米国のニュースを中心に世界のニュースを担当。
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