中国経済の苦境の中、アフリカで働かざるを得ない若者たち

2023/10/18
更新: 2023/10/18

最近、アフリカに渡った中国の若者が外国メディアのインタビューを受け、中国国内の経済的苦境を浮き彫りにした。

BBC中国語サイトによると、中国中部地方の農村に住む陳卓さんは就職するために、昨年秋から半年間、国内企業に約1千通の履歴書を出したが、卒業を控えてもまともな仕事につけず、最終的に彼はアフリカでの仕事を選んだ。

陳卓さんは重慶にある大学で国際貿易を専攻し、クラスには50人以上の学生がいたが、卒業までに就職できたのは十数人だけだった。中国経済が低迷し、若者の失業率が高い中、職場での競争が激しく、一般の大学の若者たちも同じだと分析した。

多くの中国系企業がアフリカの多数の国に進出する中、大学を卒業した多くの若者もアフリカに目を向け、そこに活路を見出そうとしている。今年6月、家族の心配にもかかわらず、陳卓さんは不安を胸にアフリカ西部の国ガーナに到着した。

報道によると、これまでフランス語専攻の学生を除いて、アフリカで働くことは、言語障害、安全問題、文化の違いから基本的には中国の新卒者の選択肢にはあがらないものだった。しかし、だんだん職場での競争が激しくなるにつれて、アフリカはますます多くの中国の若者の視野に入ってきたという。

公開資料によると、中国の今年の16~24歳までの青年失業率は毎年上昇しており、1〜6月はそれぞれ17.3%、18.1%、19.6%、20.4%、20.8%、21.3%で、データはたびたび統計を開始して以来の最高値を記録している。

当局は今年8月、全国若者の年齢別の町調査の失業率の発表を一時停止するとした。

中国国内の失業率の高騰を背景に、アフリカの就職が人気を集めている。中国のSNSであるウェイボーでは「年俸20万元(約400万円)でアフリカ派遣を考えますか」というハッシュタグはこの状況をうまく反映しているようだ。

今年7月末のヒットチャート1位に、関連記事の閲覧数が2億回に達し、30万人近くが参加した。若者が集まるソーシャルプラットフォーム 「小紅書」 や 「ビリビリ」 では、何人かのブロガーがアフリカでの仕事体験を撮影し、何百万人もの視聴者を集めている。

コメント欄では、アフリカへの行き方、会社の選び方、現地が安全かどうかなどを尋ねるコメントが多かった。

米国ジョージア州立大学国際コミュニケーション准教授のマリア・レプニコワ氏は、アフリカに関連する状況における中国を研究している。

彼女は、ますます多くの中国の若者がアフリカで働き「彼らは大規模な国有企業に就職するだけでなく、小さな団体、さらに個人の形式でアフリカに起業の機会を探しに行った」ことを発見した。

また調査対象者は、中国の若者が、細々とした家庭生活や、ストレスなどから逃れるなど、アフリカで働くことで現在の中国社会から脱出することを望んでいるとも述べている。

米ノートルダム大学政治学准教授のアイゼンマン氏は、中国は長年、経済の台頭や海外からの若者が帰国し発展することを望んできたが、今では遠く離れたアフリカで働きたいと考える人や、機会を見つけるために遠くまで行かなければならないと考える人がいることに驚いている。

アイゼンマン氏は「これは、中国の経済状況が非常に悪いことがもたらした結果であることは確かだ」と述べている。