【菁英論壇】イスラエル悩ますハマスの火海戦術 中共は米国への新戦術をテスト(1)

2023/10/20
更新: 2023/10/21

中東の状況は現在、非常に緊迫している。しかし中国共産党(中共)の態度は明確ではない。中国の王毅外相は、最近の記者会見でハマスのテロ攻撃を非難しなかった。

中東戦争やロシア・ウクライナ戦争に関する背後の情報から、真の黒幕が中共である可能性が高まってきた。中共は、ハマスを利用して、伝統的な武器で米国に対抗する新たな戦術を試みている可能性がある。また中共の「一帯一路」計画は、世界秩序を変えるための道具として使用されるかもしれない。

ハマスの背後に潜む中共、米国のシンクタンクが警戒する「眠れない邪悪」

「大紀元時報」の総編集長である郭君氏は、「菁英論壇」で、ハマスがイスラエルを攻撃した後、中共が公式にテロ攻撃を非難する声明を絶対に出さないだろうと述べた。公式は表面的には中立の立場を取った。これは、中共が中東への介入を深め、影響力を強化し、最終的にこの地域を支配しようとする戦略である。

主な目的は、米国の勢力を弱体化させることである。イスラエルは、中東における米国の利益を代表しており、中共にとって最初に狙うべき敵である。その地域の権威主義国家は、中共との協力関係を持つ。

郭君氏によれば、国際政治の現状は複雑である。ハマスは一見小さな組織に見えるが、その背後にはイランがあり、さらにイランの背後にはロシア、そして最終的には中共が存在するかもしれない。現在、経済や技術の視点から見ると、ロシアの地位は低下している。中共は、事実上の黒幕である。10月16日、ロシアの財務大臣であるアントン・シルアノフ氏は、ロシアの軍が使用するドローンの大部分が中国製であると公言した。 

米国の情報によれば、イランのドローンは中共の支援を受けている。一部は直接購入し、一部は部品の提供を受け、イランで組み立てられている。現在、ハマスが使用するドローン、特に自爆ドローンや偵察ドローンは、大部分が中共からのものであると言える。中東の状況は急激に緊迫しており、武器や資金の供給にも中共の影響が見られる。

テレビプロデューサーである李軍氏によれば、米国のシンクタンク「安全戦略センター」の中東プロジェクト担当であるデイビッド・ヴァームサー氏は、彼の研究を通じて、いくつかの問題を発見したと述べている。ハマスが使用する先進的な武器の多くがイランからの提供であること、その武器の全ての原材料が中共からであり、中共の関与を否定はできないということである。 

ヴァームサー氏によれば、ハマスが持つ先進的な武器だけでは、攻撃の成功は難しい。成功の鍵は、先進的な武器と先進的な情報の組み合わせにあるという。ハマスやイランにはそのような情報を収集する能力はなく、その情報を持っているのは中共のみである。中共はイスラエルに浸透し、情報を取得できるという。また、中共とイランは情報交換協定を結んでおり、その情報をイラン経由でハマスに提供していると考えられる。

ヴァームサー氏の結論として、この攻撃の背後の情報システムは中共が完全に支配しているとされる。そして、ハマスの攻撃は大きな計画の一部であり、その計画の目的は西側社会、特に中東において米国と西側の価値観の影響を削減することである。

 中共、中東にて新戦術を展開。火海戦術は人海戦術を上書きする。 

米国在住のアナリスト、蔡慎坤氏によれば、中共はイスラエルとの対立において大きな役割を果たしているという。ハマス攻撃事件後、背後には大きな資金提供者の存在を感じていたと述べている。なぜなら、ハマスがこのような大きなリスクを取ることは、何らかの大きな支援がなければならず、ハマス自身はその結果が自らにとって不利と理解しているはずだからだ。それにも関わらず、彼らは挑戦している。それは、背後に強大な力が支援していると蔡慎坤氏は考えている。 

また中共がこの中でどのような役割を果たしたかについて、蔡慎坤氏は公開された情報によれば、西側の情報機関、特にイスラエルの情報機関は、今回の件に関して大きな失敗をしたと見ている。ハマスによる完全な奇襲が成功した結果、国際社会は、かつてのイスラエルの無敵の神話が事実上壊れたとの認識を持つようになった。これは、イスラム世界や反イスラエルの勢力に、イスラエルに対する新たな戦略の一例を示しているのである。

こうしてみると、中共は喜んでいるのかもしれない。中東の混乱は、ロシアとウクライナの戦争に向けられている米国や西側諸国の注意を逸らしたり、さらなる軍事的・経済的援助を分散させる要因となっている。

蔡慎坤氏は更に、イスラエルとハマスの紛争は始まりに過ぎないとし、中共がこの混乱を機に利益を追求する意向を持つ可能性があると指摘している。特に、アジア太平洋地域での混乱が台湾海峡に影響を及ぼすことが考えられる。

蔡慎坤氏は、中共の策略が主に台湾海峡の情勢に集中しているとも述べている。その理由は、米国の関心を世界中の他の紛争地域に散らし、台湾海峡の緊張を顧みさせない状態を作り出すことだ。中共はハマスのような非対称的な攻撃のチャンスを得るためである。

最後に、蔡慎坤氏は、中共がハマスのような戦略を台湾海峡で採用する場合のシナリオについて語っている。台湾の防御能力は、中共の大規模な攻撃に対して十分でない可能性がある、もし中共が台湾海峡で戦争を開始する場合、それはハマスが5千発のロケットを発射するのではなく、同時に10万発のロケットを発射することになるかも知れない。どの国の防御力も、実際にはそれを防ぐことはできないと述べた。

大紀元の主筆である石山氏は、元中共海軍の大佐である姚誠氏が「遠火営(遠距離ロケット営団)」という言葉を紹介した。”遠火”とは遠距離ロケットを指すものであり、このロケットはミサイルでも通常の砲弾でもない。火薬で推進される砲弾であり、最大射程は約300kmである。

これにより、中国福建省の沿岸から台湾を直接攻撃することが可能となる。主な特徴は低コストであり、大量の兵士を使う「人海戦術」の代わりに、大量の火器を使う「火海戦術」を採用している。

石山氏の話によれば、明らかに現在の中共は第二次世界大戦時の武器を用いて先進的な武器を打ち負かす戦略を模索しているという。相手が高精度のミサイルを保持している中、大量の砲弾を用いて数による優位を目指す戦術だ。

ロシア・ウクライナ戦争においても、従来の武器を使用して互角に戦っており、ハマスや中東の陣営も、イスラエルの先進的な武器に立ち向かうために、このような武器の使用を検討している可能性がある。彼らは民間人を巻き込んだり、死を恐れない態度を持つことで、一定の有利さを確保できる。 

現在、米国は中国に対する高度な技術制裁を施しており、その結果として中共の高精度ミサイルの性能が以前より劣るという状況も考えられる。しかし、通常の武器や第二次世界大戦時の武器での戦闘が可能であるかと探っている。実際には、現代の西洋の戦闘倫理を捨てることで、これらの武器を活用することが可能となる。これは将来的に、非常に危険な状況を引き起こす可能性がある。

(続く)

関連特集: 時事