どん底の中国経済 改革開放は死んだのか 

2023/10/26
更新: 2023/10/26

1978年の改革開放路線以降、中国経済は急成長を遂げた。現在、中国経済はこれまでにない困難に直面し「改革は死んだ」と考えている人は多い。

最近、「習近平版の改革開放」と「鄧小平版の改革開放」が話題になっている。米スタンフォード大学中国経済制度研究センターのシニア研究員、許成鋼氏は、まず改革開放の本質を理解することが重要だどん底の中国経済 改革開放は死んだのかと指摘した。

鄧小平と習氏 重視するものが違う

習近平氏が権力を握って十年が経過した。習氏は任期の制限を撤廃し、民業よりも国有経済を優先させる「国進民退」の状況を作り出し、中共(中国共産党)の統制と習近平への個人崇拜を強化している。

その一方、3年のコロナ禍後、中国経済は揺れている。資本の流出が増加し、不動産危機が続き、若者の失業率が高騰し、消費が低迷、経済が萎縮し、地方政府の財政が枯渇している…多くの人々は、これが鄧小平時代の改革開放の終焉を意味していると考えている。

許成鋼氏は、改革開放が生きているか死んだのかより、まず改革開放とは何かを理解することが重要だと指摘した。

全体的には、習近平氏の改革開放と鄧小平の改革開放は、焦点が異なるだけで基本原則は同じだ。

「彼らの違いは、習氏が主席に就く前は、中共は経済成長をより重視していた。それに対し、習氏が最も重視したのは経済成長ではなく、4つの基本原則だった」と許成鋼教授は述べた。

4つの基本原則とは、中共の指導を堅持する、社会主義の道を堅持する、無産階級の専政を堅持する、マルクス・レーニン主義と毛沢東思想を堅持する。これは1980年に鄧小平によって提唱されたものだ。

改革開放の前提、四つの基本原則を堅持すること

「改革開放に関するいかなる理解も、改革開放が始まる前に鄧小平が確立した4つの基本原則から外れてはならない」

「改革開放」という言葉は、中共が1980年代に提案した経済政策に由来している。1982年、鄧小平は「改革開放」について非常に明確な解釈をした。

許成鋼教授は「鄧小平は中国の改革開放はレーニンの新経済政策だ」

「改革開放の概念が提出される前の1980年に、鄧小平は4つの基本原則を非常に明確に述べていた。4つの基本原則は、いつでも、誰でも、どの機関でも違反してはならないものだ」と述べた。

鄧小平は1980年代を通して四項基本原則を実行していた。『反精神汚染』や『反資本主義的自由化』など、一連の運動を推進した。

鄧小平の改革開放の前提は、4つの基本原則を堅持することだ。

習近平氏は今年4月に広東省を視察した際、中共の改革開放政策は永遠に変わらないと強調し、自ら開放の扉を閉じることはないと述べた。しかし、党の指導を強化する必要があるとも強調した。

許成鋼教授は「彼ら(習近平と鄧小平)は、最も基本的な重要な原則において、完全に一致している」と話した。

「改革開放」の目的 統制強化と政権維持

改革開放の歴史的な背景として、文化大革命後、中国社会で強く自由化を求める動きが見られ、共産主義の独裁制度に衝撃を与えた。

鄧小平は、この自由化の流れを抑えるために「4つの基本原則」を実行し、一連の運動を推進し、結果、1989年には悲劇的な天安門事件が起こった。

さらに、天安門事件の数か月後、ベルリンの壁が崩壊し、その後ソビエト連邦が解体された。東欧の共産党勢力の崩壊は、中共に大きな危機感をもたらした。

ここで非常に重要なのは、鄧小平は4つの基本原則を堅持するためには、2つのことをやらなければならないという判断したことだ。

第一に、ブルジョア的自由化を断固として抑圧することで、天安門事件はまさにそのために起きた。 

第二に、経済を発展させることで、経済を発展させなければ社会主義体制を維持することができない。

鄧小平のこの判断は、1992年のいわゆる南巡講話につながった。その後、中国は改革開放に乗り出し、特殊な条件の下、最初の2、30年間、改革開放は比較的成功した。中国国民の物質的生活は大幅に改善された。

中共の改革開放後の30年間、経済成果は次第に中共の統治の「政党性」の礎石とみなされるようになった。

「しかし、改革開放の目的は、中共の統制を強化し、4つの基本原則を維持するためだ。したがって、改革開放の代償として、中共は異なる意見を抑圧し、異なる政治的意見を持つ人々を抑圧し、人々の基本的な権利を抑圧してきた」

「また、共産主義という権威主義制度の最も基本的な部分は、土地公有制度と、経済に対する完全な制御だ。これらの要素が重なると、中国の富の分配に重大な歪みが生じる」

「富の分配における大きな歪みのため、中国の全体的な収入は大幅に増加したが、家計所得の総額がGDPに占める割合は、長い間、徐々に減少している」

「GDPに占める家計所得の割合が低すぎるため、中国の内需は深刻に不足している。 一方、中国の改革開放に伴い、中国の格差は急速に拡大している。

中国の極端な格差で、長い間、非常に多くの世帯の所得が等価可処分所得の中央値の半分(貧困線)に満たない。これら全ての要素が重なって、中国経済は非常に深刻な根本的な問題に直面している」と許教授は綴った。

許成剛教授は、中国経済は過去に急成長を遂げたが、それは一時期に過ぎなかったと指摘した。その時期が過ぎると、中国の持続的な経済成長は事実上不可能になった。その原因は中共の体制にある。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
常春
章洪
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