「一人っ子政策」で4億人強制中絶させた中共 少子化で今度は「強制妊娠」を強要か

2023/10/27
更新: 2023/10/27

中国共産党(中共)の過去数十年にわたる一人っ子政策は、その野心を危険にさらすだけでなく、中国の将来をも「絶たせてしまった」――。NPO人口研究所(Population Research Institute)の所長スティーブン・モッシャー氏は深刻な人口減少に拍車がかかる中国は近い将来、国民に「強制妊娠」などを命じる可能性があると警鐘を鳴らした。

1980年代に、中共は「一人っ子政策」を導入し、違反する者には強制的な中絶や厳しい罰金を課した。当局は、この規則は国家の経済的、長期的発展のために必要だと豪語した。

しかし、この政策によってもたらされた労働力人口の減少や急速な高齢化に対応するため、当局は一転して出生率を高める対策をとっている。

モッシャー氏はエポックタイムズ動画配信サイト「EpochTV」で「彼らは実質的に、中国の世界支配という夢を早々に打ち砕いてしまったと気付き始めている」と語った。

「中国経済が低迷し、人口は高齢化し、歴史上最大の急速な人口減少に直面しているため、21世紀は、もはや中国のものではない。中共の失政が続いていることも要因にあるが、ここ数世代の半分が死に絶えたことが大きいだろう」

モッシャー氏は1970年代後半、中国の村民とともに生活し働いた、はじめての米国の社会科学者だ。同氏によれば、この「一人っ子政策」は「世界がかつて経験したことのないような人的資本の破壊」につながったという。

さらに中国の家族計画委員会がこの政策によって「4億人」の出生を防ぎ、資源と環境への圧力が軽減されたと主張していたことに言及した。

「4億人の出生が失われれば、時間とともに中国経済が打撃を受けるのは避けられない。それが今現実になっている」

NPO、Population Research Instituteの所長スティーブン・モッシャー氏 (York Du/NTD)

「過去2世代の半分を殺すことで、中国共産党は党の未来をも殺してしまった。家族と子供なくしては、国家の未来はない」

一人っ子政策の深刻なツケ

中国の出生率は近年急速に低下している。

地方当局は、税金の控除や住宅補助といった優遇措置で出生率を上げようとしているが、減少傾向を覆すことはできていない。若い世代は家庭を持ち、子供を持つことに消極的だ。

2015年、中国は2人の子供を持つことを許可した。しかし、2021年の国勢調査で「2人っ子政策」が少子化に効果的に対処していないことが明らかになったため、現在3人に引き上げられている。

2022年、国家衛生健康委員会(NHC)は956万人の出生数を報告したが、これは中共がデータを収集し始めた1949年以来最低の水準だ。

NHCの関連機関である中国人口発展研究センターが8月に発表した調査によると、合計特殊出生率(女性が生殖可能な時期に産むと予想される子供の平均数)は、2022年には1.09となり、2020年に記録した1.30から低下した。この数字は、一国の人口を安定的に維持する「人口置換水準」の2.1を大幅に下回っている。

しかし公式データが示す数字よりも、はるかに厳しい状況にあるとモッシャー氏は指摘する。

「彼らがこの数字を認めるということは、実際の数字はもっと低いだろう。中共の統計は常にプロパガンダのために操作されているのだから」

2023年1月5日、中国東部の安徽省の路上に立つ女性と少年 (Photo by NOEL CELIS/AFP via Getty Images)

仮に出生率が女性1人につき1人程度にとどまったとしても、中国は世界で最も人口の多い国としての地位を失いつつあり、米国の人口が中国を上回ると予想されている。モッシャー氏はこのシフトは早ければ2060年、遅くとも2070年には起こりうるとし、今世紀末には、中国の人口はわずか4億人にまで減少する可能性があると付け加えた。

中国の人口問題は、米国や日本などの先進国が直面している課題と似ている。しかし、中国は中所得国で何億人もの人々がまだ比較的貧しい暮らしをしていることが両国との違いだとモッシャー氏はいう。

「中国は豊かになる前に年老いた。それに比べ、米国は老いる前に豊かになった。つまり、人口が高齢化し、労働人口が減少し始めても、繁栄を続けるだけの資源があった。しかし、中共は自らの人口抑制策が招いた事態から抜け出す方法はない」

「強制妊娠」を導入か

もし奨励策で人口減少に歯止めがかからなければ、モシャー氏は、若い中国人に結婚と妊娠を強制する措置が実施される可能性があると警告した。

実際、中国共産党直属の個人にはすでに指示が出されている。習近平国家主席は9月7日、33項目の家族計画政策を認可し、軍人に結婚と子供3人を持つことを奨励した。

「彼らは 『奨励する』という言葉を使っているが、もちろんそれが意味するのは命令だ。最高司令官が『産めよ増やせよ』と言えば、その命令に従うか否かで昇進が決まるのだから」

同様の指令は、中共が夫婦が3人目の子供を持つことを認めた際にも発令された。2021年12月の国営メディアの社説は、中共の党員に3人の子供をもうけることで義務を果たすよう指示した。

「党員は、結婚しないこと、子供を産まないことに対して、客観的、個人的な言い訳をすることはできない。また、1人か2人しか子供を持たないという言い訳も通用しない」と、「China Reports Network」の論説には掲載されていた。この記事は24時間以内に削除されている。

また中国では少子化対策として各省が若い男性、特に大学生に精子提供を奨励している。NHCのウェブサイトによれば、全国29か所の精子バンクが奨励金を設定して提供者を募っているという。

「現在中国には「卵子バンク」はないが、近い将来若い女性が体外受精のために卵子を提供し、試験管ベビーを育てるように言われるようになるかもしれない。しかし、もっと簡単な解決策を取る恐れもある」

「つまり若い女性たちは、卵子ではなく、子宮と自分自身を提供するように命じられる可能性がある。国のため、中国の繁栄のため、中国の未来のために、子供を持つことに同意しなければならないと言われるだろう。従わない場合は罰則がある」

モシャー氏は、早ければこの10年のうちに強制妊娠が実現する恐れがあると警告した。

「中国は何十年もの間、トップダウン方式で少子化をコントロールしてきた。深刻な人口減少に直面している今、若い女性を生殖の捕虜として利用し、国を再繁殖させることも大いにあり得るだろう」

「国の“完全支配”を目指す中国を決して信用してはならない。いかなる状況であれ、中共から教訓を学んだり、助言を受けたりすべきではない」

エポックタイムズのシニアエディター。EPOCH TVの番組「米国思想リーダー」のパーソナリティーを務める。アカデミア、メディア、国際人権活動など幅広いキャリアを持つ。2009年にエポックタイムズに入社してからは、ウェブサイトの編集長をはじめ、さまざまな役職を歴任。ホロコーストサヴァイバーを追ったドキュメンタリー作品『Finding Manny』 では、プロデューサーとしての受賞歴もある。