米国のバンガード・グループは、中国市場から撤退する最終段階に至っており、コンサルティング会社ギャラップも中国国内の全オフィスの閉鎖を進めている。他の多くの多国籍コンサルティング企業も、中国での事業を縮小するための措置を取っている。
11月3日にブルームバーグ通信が報じたところによれば、米国の資産管理会社であるバンガード・グループは、29兆元(約596兆円)にも及ぶ中国の共同基金市場で、オフィスを閉鎖するための最後の手続きを実施しているという。情報源によると、バンガード・グループは上海の残りの約10人のスタッフと、すでに解雇に関する合意に達しており、その中には中国ビジネスの責任者も含まれている。大部分のチームメンバーは来年初めまでに退職する予定で、そのオフィスも閉鎖される見込みだ。
10月にはバンガード・グループが、アントグループとの合弁であるロボアドバイザー事業の49%の株式を売却した。同社は、今年の年末までサポートを提供し、移行がスムーズに完了するようにする計画だ。
中国共産党(中共)当局が西洋のコンサルティング会社に対して厳しい審査を行い、地政学的緊張が高まる中、米国の世論調査およびコンサルティング会社であるギャラップも中国からの撤退を進め、最新の中国撤退企業の一つとなった。
「フィナンシャル・タイムズ」の報道によると、ギャラップは今週、顧客に対し中国からの撤退を通告し、一部のプロジェクトは中国外に移転することになり、他のプロジェクトは中止するという。
ギャラップ社は、企業向けのマーケティング調査と分析サービスを提供している。報道によれば、ギャラップ社は1993年より中国での運営を開始し、北京、上海、深センにオフィスを設け、多くのスタッフを雇用してきた。そのスタッフの中には、中国企業の組織再設計やマーケティングの最適化を支援するコンサルタントも含まれていた。
ギャラップ社は中国内の全オフィスの閉鎖を予定しており、一部の現地スタッフが留任するかどうかは未だ不明である。公開されている情報では、ギャラップ社は以前、広州にもオフィスを構えていたが、2014年に閉鎖している。
この決定は、中国経済の減速と、外国企業とのデータ共有に関する懸念が背景にある中で、外国コンサルティング会社が中国での事業獲得に、直面している困難を示している。
ギャラップ社の撤退に併せて、他の多国籍コンサルティング企業も中国での業務縮小の措置を講じている。
技術を専門とするフォレスター・リサーチ社は、中国でのアナリストのほとんどを削減し、ネットワークコンサルティングのガーソン・レーマン・グループ社は本来、今年中国での事業拡大を計画していたが、夏には中国スタッフの削減を開始した。さらに、米国のブルーチップ株管理コンサルティング会社は、過剰なコンサルタントを避けるために、有給休暇の提供や新入社員の入社日の延期などの措置をとっている。
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