米億万長者ら、マイアミへ移住 青い州の治安悪化に懸念か

2023/11/07
更新: 2023/11/08

米アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏は、米西部ワシントン州のシアトルから共和党色の強いフロリダ州のマイアミに移住すると発表した。同州には他の著名な億万長者起業家も移住しており、中には青い州の治安悪化に懸念を示す者もいる。

ベソス氏は3日、インスタグラムでこの発表を行った。「シアトルは一番長く住んだ地域であり、素晴らしい思い出がたくさんある」とした上で、両親や、自身が設立した宇宙企業ブルー・オリジンのケープカナベラル事業所の近くに住むために移住を決断したと投稿した。

パームビーチ・ポスト紙によれば、ベゾス氏はマイアミ・デイド郡にあるインディアン・クリーク・ビレッジの邸宅に7900万ドル(約118億円)を支払ったという。AP通信は8月、ベゾス氏が同地区のウォーターフロントで6800万ドル(約102億円)の不動産も購入したと報じた。

他の億万長者もマイアミに移住

大手ヘッジファンド、シタデルの創業者ケネス・グリフィン氏も昨年、シカゴからマイアミに本社を移転することを明らかにした。

同氏はシカゴからマイアミに本社を移した理由として、マイアミの温暖な気候やシカゴの犯罪率の高さを挙げている。

昨年のウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューでは「複数の同僚が銃を突きつけられて強盗にあった。通勤途中に刺された同僚もいる。侵入強盗の被害も数え切れない。このような状況では、この街に才能を引き寄せるのは難しい」と犯罪増加に懸念を示した。

グーグルの前会長兼CEOのエリック・シュミット氏とその妻も2020年からマイアミ・ビーチのサンセット・アイランド地区にあるウォーターフロントの家を購入したとされる。米ザ・リアル・ディールが報じた。

シアトルでの犯罪増加

近年、シアトルでは犯罪、殺人件数が増えると同時にホームレスも急激に増加している。シアトル・タイムズ紙は9月、シアトルでは殺人件数が増加傾向にあり、2023年の殺人件数はすでに2022年の合計を上回っていると報じた。

犯罪の増加は、2020年の極左組織アンティファの暴動以来、民主党を中心とする地元の指導者たちが取り入れた「犯罪に甘い政策」によるものだと指摘する法律アナリストもいる。

2020年半ば、シアトルの一部の活動家グループは、市の警察予算を50%削減し、その代わりに地域社会の治安対策と手頃な価格の住宅に資金を充てることを推し進めた。シアトル・タイムズ紙によると、少なくとも7人の市議会議員がこの動きを支持したという。

米国国勢調査局などが収集したデータによると、「住んでいる地域が安全でない」ことを理由に、シアトルの成人の7%が過去6か月間に引っ越しを考えたことがあることがわかった。

2020年7月1日、ワシントン州シアトルにて。壁には「警官廃止」と落書きされている(Photo by JASON REDMOND/AFP via Getty Images)

ヘリテージ財団ミース・センターのザック・スミス氏は、米フォックス・ニュースにこう語っている。

「シアトルは『警察の予算を打ち切れ』運動の最前線にあり、地元の指導者たちは市の警察予算を半減させることを約束したが、犯罪率の上昇という現実に直面すると、その大胆な目標から手を引かざるを得なかった」

長い間、左翼民主党によって運営されてきたシアトル市は「警察の予算を打ち切れ」運動の拠点となった。シアトルのダウンタウンには「キャピトル・ヒル・オートノマス・ゾーン(キャピトル・ヒル自治地区、CHAZ)」が出現し、暴徒や占拠デモ参加者によって占拠され、治安が悪化した。

シアトルのブルース・ハレル市長(民主党)は2月、「治安問題に対応するためには、早急な対策と革新が必要だ。人手不足の危機に対処するため、より多くの警官が必要なのだ」と発言している。

ニューヨークを拠点とするエポック タイムズの速報記者。