湖北省にある病院でこのほど、顧客に「偽の出生証明書」を売ることで人身売買に関与した疑いにより、院長が警察に拘束されたことわかった。
きっかけとなったのが、ネット上の告発文だった。この告発文が拡散されて注目を集め、ついに現地の関連部門が介入したという。
「1年以上にわたる調査を行った」という告発者によると、「襄陽健橋医院の院長・葉有芝は、複数の業者と結託してSNSで顧客を集め、長期にわたって、偽の出生証明書やワクチン接種ノートを販売していた。また葉有芝は、赤ちゃんの人身売買にも加担していた」という。
入院、出産、退院までの情報を偽造し、偽の出生証明書を発行するまでの「値段」は日本円にして約200万円(9.6万元)だという。このお金を、院長や分娩室の職員らで分け合っていた。
つまり、例えば、どこかから誘拐されてきた子供を「購入」し、それを自分の実子として戸籍登録する場合に、偽の出生証明書があることによって役所への手続きがスムーズにいくのだ。
これは、現代中国の恐るべき闇の部分である「子供の失踪」および「人身売買」に、まさに加担することになる。医療従事者として、絶対に許されざる背任行為である。
告発者によると、過去にこの病院から偽の出生証明書を買った顧客は、北京、山東省、四川省、甘粛省などの各地にいて、いずれも現地で「戸籍登録」に成功しているという。
この件が明るみに出た後、中国のネット上では激しい議論が巻き起こった。
「偽の出生証明を必要とする子供たちが一体どこから来たのか。考えただけでも身震いがする」
「これだから、誘拐された子供がなかなか見つからないのか」
「明らかに人身売買業者のためのサービスだ。しかも、これは氷山の一角だろう」
年間で20万人とも、あるいはそれ以上とも言われる子供が失踪する中国。それらはいずれも、人身売買や臓器狩りの疑いが濃厚な、恐るべき犯罪集団に直結する事象である。
そうした犯罪集団を支える「偽の出生証明書」が、こうした正規の医療機関で「販売」されていることは驚くべきものがあるが、中国においては疑いない事実である。
さらに、大金が儲かることの悪魔性が「医の倫理」をはるかに超えるという意味では、中国の「臓器狩り」も同一線上にある凶悪犯罪と言ってよい。
寄せられたコメントにもあったように、このたび発覚した例は、まさに「氷山の一角」であろう。なぜならば、失踪する子供の数があまりにも膨大であるからだ。
ある日突然、我が子がいなくなり、気も狂わんばかりに泣く母親たちの絶叫が、失踪した子供の数だけ中国には存在する。ただし、この病院の院長である女医には、それが全く聞こえないらしい。
(人身売買に立ち向かうボランティアが潜入して撮影した動画。襄陽健橋医院で「出生証明書」が売買されている事実について、病院関係者に問い質している)
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