台湾国防部は、2023年11月24日、豪州の軍艦が11月23日に台湾海峡を通過し南方へ向かったと発表した。国防部は、軍艦の動向を終始監視し、高度な警戒を保っていると述べたが、詳細は明らかにしていない。
台湾側は、軍艦の艦名やクラスを公表しておらず、豪州政府も、この件についてのコメントはない。
これまで、豪州軍艦が、敏感で狭い台湾海峡を通過することはほとんど知られていない。この海峡は、台湾と中国を分ける重要な水路で、近年、国際的な注目を集めている。
豪州戦略政策研究所(ASPI)の国防アナリスト、ユアン・グラハム氏は、ロイターに対し、豪州海軍は以前にも台湾海峡を通過したことがあるが、「公表しない選択をした」と述べた。
台湾海峡の緊張が高まる中、米軍はほぼ毎月、軍艦を台湾海峡に派遣しており、台湾海峡の航行について、「国際法」に基づく「定例の通過」と強調している。ワシントンは、このような定例の航海任務は、自由な航行の原則を強調するだけでなく、米国とその同盟国がインド太平洋地域の自由と開放を維持するというコミットメントを示していると説明している。
中国共産党(中共)当局は頻繁にこれに異議を唱えている。
グラハム氏は、豪州海軍が台湾海峡を通過したのは、それが東シナ海と南シナ海の間の最短ルートだからであると述べた。
「これは、その海峡を通過する国際的な権利を行使するだけのことであり、これは国際法上争われている領域ではない、 中国(共産党)が挑発しているだけだ」と彼は表現した。
今回の航海は、豪州と中共の軍事関係の緊張が高まる中で行われた。
先週、豪州は日本の排他的経済水域(EEZ)で中共軍艦と豪州海軍の艦艇が衝突した事件について抗議した。この事件では、豪州軍のダイバーが負傷した。
11月14日、豪州の遠距離護衛艦「HMASトゥーンバ」が日本のEEZで、プロペラが漁網に絡まり、ダイバーが漁網を取り除いているとき、近くにいた中共の駆逐艦(DDG-139)が、豪州の軍艦に接近し、船載ソナーを作動させた。その後、中共の駆逐艦のソナーによって豪州のダイバーが負傷した。
ソナー(Sound Navigation and Ranging、SONAR)は、音波を利用して物体の水中位置を特定し、探知する装置である。人が強いソナー音にさらされると、聴力損失を引き起こす可能性があり、血圧、肺、脳などの機能に影響を与えることがある。
豪州の副首相兼国防相のリチャード・マールズ氏は18日、中共の軍艦の行動を強く批判し、極めて危険で、安全性と専門性に欠けていると指摘した。マールズ氏は声明の中で、「医療評価によると、(海軍のダイバー)は軽傷を負っており、これはおそらく中国(共産党)の駆逐艦のソナーパルスの影響によるものである」と述べた。
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