内需低迷で余剰在庫を輸出 主要品目70%が値下げ販売

2023/12/13
更新: 2023/12/13

中国の経済が低迷する中、輸出業界は厳しい競争にさらされ、内需の低迷により、企業は余剰在庫を低価格で海外に売却し、この1年で主要輸出商品の70%が値下げ輸出されている。

中共(中国共産党)税関総署が12月12日に公表した貿易統計速報では、11月のドル建ての輸出額は前年同月比0.5%増となり、7か月ぶりに増加した。主要貿易相手国である米国への輸出額が増加したのは、2022年7月以来初めてだ。

輸出総額がわずかながら増加した主な理由の一つは、値下げ商品の割合が増えたことだと考えられている。

「ニッケイ・エイジア(Nikkei Asia)」は、貿易統計速報から単価を算出できる17品目のうち、71%の品目は前年同月比で単価が下落していると分析した。この比率は2022年秋から上昇に転じ、2023年5月以降は70~80%と高い水準で推移している。

タイ鉄鋼協会の統計によると、1~9月までの中国からの鉄鋼製品輸入総量は349万トンに達し、前年同期比23%増となった。タイの大手鉄鋼メーカー、ミルコン・スチール社は、中国製鉄鋼製品の大量流入により、タイの国内生産能力は今後低下する可能性が高いと語った。

「ニッケイ・エイジア」は情報筋の話を引用して、電気自動車の需要が高まるにつれ、中国で売れ行きの鈍いガソリン車は、中東やアフリカに安く出荷されるため、主要な輸出対象になりつつあると報じた。

中国メディア「経済観察報」は、中国で最も競争の激しい5つの産業は、医療機器、集積回路、農業用化学製品、化学製品、鉄鋼であるとまとめた。

値下げは川下産業(小売り、ネット通販企業)にも広がった。家電製品は10%も値下げされている。中国国内では、家具や家電製品の国内販売は2月以降落ち込んでいる。在庫削減を急ぐあまり、中国製のバッグや靴の価格まで20%も下落した。

業界で競争が激しい原因について、記事はパンデミックの影響、大国間の地政学的競争による経営上の挑戦、技術革新の鈍化、下流市場の需要低迷が上流産業に大きな変動をもたらしていることなどだと分析した。

中国は世界の粗鋼生産の50%、自動車生産の30%以上を占めている。値下げ輸出は世界の市況悪化につながりかねない。

こうした業界内の競争激化自体は、内需と外需が低迷を続け、市場全体が停滞傾向にあることを示している。

林燕
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